阪神近本光司外野手(25)が、今季実戦29試合目で初の「1番」に座ってマルチ安打をマークした。昨季108試合で務めた打順。試合前に口頭で聞かされて「驚いた」という“定位置”で役割を果たした。

昨季チームトップの81得点を挙げた「帰巣本能」は衰えていなかった。初回は早速四球で出塁。続く糸原の右前打で三塁まで到達すると、糸井が遊ゴロ併殺の間に先制のホームを踏んだ。5回は2死二塁の好機で、一時勝ち越しの右前適時打。「なんとしても点を取らないとな、という思いがあった。打てるボールが来たときに仕留められるように合わせてた」。さらに8回は増井から左中間へはじき返し、左翼吉田正が打球の処理に手間取る間に快足を飛ばして二塁を陥れた。

今季は矢野監督の掲げる「近本2番構想」により、これまで出場全試合で2番だった。1番での出場は19年10月13日のCSファイナルステージ巨人戦(東京ドーム)以来243日ぶり。「1番のときは自然。2番だったら前の打者は反応を見ながらですけど」。この日は5打席に立って相手投手陣にチーム最多となる全26球を投げさせた。久しぶりの景色でも、1番打者としての役目を全うした。

9日、10日の広島戦では2試合とも1点止まりと打線が振るわず。矢野監督は「ちょっと当たりが止まっていたので」と近本の他にも糸井を3番、サンズを7番に配置するなど復調のきっかけを与えた。「シーズンに入って動かすことはもちろんある。そういうところでこうやって1回動かしてやってみるというのは1つの準備としてはちょうど良いタイミング」。開幕前にオーダーの選択肢を広げる狙いがあった。

「実戦は短くシーズンが始まりますが、チーム全体としてまとまって一致団結して頑張っていきます」。近本が見慣れた景色で気分を変え、最高の状態に仕上げて開幕へ向かっていく。【只松憲】