4番のバットが暗雲を振り払った。日本ハム中田翔内野手(31)が28日、楽天6回戦(楽天生命パーク)の1回2死一塁、左翼席へ2試合連続、リーグトップタイとなる5号2ランを放った。

チームは今季4勝目で、そのうち3度が中田の決勝打。9戦5発、シーズン66発のハイペース。前日大敗の嫌な流れを断ち切り、30日の本拠地開幕戦(対ソフトバンク、札幌ドーム)に弾みをつけた。

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中田らしく豪快にかっ飛ばした。1回2死一塁の第1打席。カウント2-1から、楽天石橋の高めに浮いた126キロスライダーを、左翼席中段へはじき返した。「狙い球というよりは積極的に甘いのが来たら振ろうと思っていた。それがたまたま良い形となったのでよかった。あれだけ点を取られたら、やり返してやりたいという気持ちも強かった」。2試合連続の1発は先制&決勝の5号2ラン。前日27日に18失点を喫したチームの嫌な流れを、一振りで消しさった。

9試合で5発は、もちろん自己最速。シーズン66本塁打ペースと量産態勢にある。「そんなん、どうでもいいです。興味ないといったらおかしいけど、もっともっとやっぱね、得点圏で打てるようにどうにかしないといけない」。本人は謙虚な姿勢を貫く。

自粛期間を挟んでの過密日程。昨年までは休前日にしか取り入れていなかった半身浴を毎晩行い、トレーナーのマッサージも受けている。「連戦が続く中で、ケガをしてしまうリスクはすごく上がっていると思うから」。体のケアにも入念だ。

異例の同一カード6連戦には、ひそかな悩みも抱えていた。26日に2失策、27日も野選を犯した。「イップス。なんか普段の動きが出来ない。守備に就いてずっとドキドキしていたのは8年ぶりくらい」。パ・リーグには少ない土のグラウンドであることも影響し、ゴールデン・グラブ賞も獲得した一塁守備に不安を覚えていた。

だが30日からはいよいよ、本拠地・札幌ドームに戻ってソフトバンク6連戦となる。鎌ケ谷で練習が始まった5月26日以来、約1カ月ぶりの帰還。「今の状態が完璧とも正直思っていない。まだまだ上を目指せると思う」。4番のバットがチームを乗せていく。

▼通算1000三振=中田(日本ハム) 28日の楽天6回戦(楽天生命パーク)の9回、シャギワから空振り三振を喫して記録。プロ野球68人目。初三振は09年5月23日ヤクルト2回戦(札幌ドーム)でバレットから。