ソフトバンク東浜巨投手(30)が、チームを今季初の単独首位に導いた。7回を4安打1失点。初回に3連打で1点を失ったが、2回以降は日本ハム打線をわずか1安打に抑え、2勝目を挙げた。前回登板で右足に打球が当たるアクシデントにもくじけず、不屈の精神で乗り切った。打線も3回に一気に逆転。ソフトバンクに球団名を改称後、通算1200勝に王手をかけた。

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心強かった。アウトを取る度にわき起こるファンの拍手に、東浜のハートが奮いたった。先発7回1失点の好投は、ファンに後押しされ、そのファンへの感謝の気持ちが詰まっていた。「今年初めてヒーローになれましたし、勝てて良かった」。今年、初のお立ち台が何より心地良かった。

初回はまさかの3連打で1点を失ったが、心は折れなかった。4番中田を併殺、続くビヤヌエバを153キロ直球で二飛に打ち取った。2回以降は毎回三振を奪い、わずか1安打に抑えた。

東浜 野手の方を信じていたし3点援護もらって感謝してます。調子が良くなかったが配球で助けてくれた甲斐に感謝したい。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で自粛練習が続く中、野球ができることへの感謝を感じ続けた。地元ファンの前で投げられることが、うれしかった。

前回登板の17日オリックス戦。2回、先頭打者の打球が右足に当たった。直後は動けなかったが、3回まで投げきった。中継ぎへの負担を考えて踏ん張った。シーズン前の練習試合でも打球が当たった。度重なる災難も、不屈の精神で乗り越えた。

昨年6月に右肘の手術を受けた。遊離軟骨の除去だけでなく、肘の出っ張ったところの骨も削ったという。手術からほぼ1年後の今年6月の開幕前、自身のインスタグラムに除去した骨の写真をアップ。どんな困難にも立ち向かう気持ちを示した。

楽天が敗れ、チームは今季初めて単独首位に立った。工藤監督は「今日は何が何でも勝ちたかった。よく粘って1点で抑えてくれた」と東浜の好投に目を細めた。ソフトバンクとしての通算1200勝に王手。常勝軍団が復調へと向かう。【浦田由紀夫】