楽天浅村栄斗内野手(29)が魂のヘッドスライディングで、チームの闘志をかき立てた。

26日、オリックス9回戦(楽天生命パーク)の5回1死満塁、オリックス山本に三ゴロに打ち取られたが一塁へ頭から飛び込み、併殺崩れで1点を奪った。クールな主砲の熱いプレーにナインも感化され、引き分けを挟みチームの連敗は4でストップ。首位ソフトバンクとの0・5差を死守した。

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勝利のために、迷いはなかった。2点を追う5回1死満塁。浅村は一塁目がけて、頭からいった。オリックス山本の前に三ゴロに倒れたが、併殺を防いだ。「普通です。アウトにならなくて良かったです」。霧雨を浴びた土でユニホームはもちろん、首もとまで汚した。ただ、目の前の1点、4連敗中のチームの悪い流れを断ち切るために、最善を尽くした。

がむしゃらな姿勢にチームメートも奮起した。なおも2死一、三塁で4番島内宏明外野手が同点の中前適時打。「ああいうヘッドスライディングはチームを熱くしてくれるプレーに見えた。いつも以上に熱い気持ちが伝わってきました」。8回に決勝打を放った主将の茂木栄五郎内野手も胸を打たれた。「去年(4月28日ロッテ戦)もヒデさん(浅村)がヘッドスライディングする場面があって、引きで見ているよりも勝負に熱い方だなと感じていました。今日の試合、絶対勝つんだ、という強い気持ちがすごく伝わってきました」。言葉はなくとも、熱量は確かに届いていた。

三木肇監督も主砲の思いがチームに与えた影響を称賛した。「本能でやったと思う。浅村の気持ちが出たプレー。普段からもの静かで口数の少ない男ですけども、チームのことに対してこうやっていいんですか、といろんなことを考えてくれる選手。今日も何とか、という気持ちがああいう姿に映ったのかなと思います」。欠かせない存在であることを再認識した。

オリックスとの今カードは21打数3安打3打点、打率1割4分3厘。15日西武戦からDH出場が続き、開幕から4番に座ったが、前日25日オリックス戦から3番に入る。「打順は関係なく、いつもと変わらずに打席に立っている。今はあまり(状態が)良くないですけど、次の試合も頑張ります」。浅村が重苦しい空気をかき消した。【桑原幹久】