「中嶋チルドレン」で一丸白星!! オリックスが中嶋聡監督代行(51)の新体制発足後、会心の3連勝スタートだ。2点を追う6回に杉本裕太郎外野手(29)が同点適時打を放ち、7回に西武の上位打線を抑えた左腕の富山凌雅投手(23)がプロ初ホールド。最後は漆原大晟投手(23)がプロ初登板初セーブを挙げた。ともに20日まで2軍監督だった指揮官が信じて抜てきした選手。大胆な用兵が光り、最下位とは思えない勢いが出てきた。

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劣勢でナインへの信頼が報われた。どん詰まりのゴロに執念がにじむ。2点を追う6回2死二、三塁。杉本は宮川の151キロ内寄り速球を振り抜いた。一、二塁間を破るタイムリーで2者が生還。同点に戻した。

愛称ラオウの杉本は燃えた。「(中川)圭太がやっとヒットを打った。人の心配している場合じゃないけど僕も絶対に打ってやろうと。2軍は外ですごく暑い。友情が芽生え、絆が深まりました」。殊勲打の直前に不調の4番中川が先頭で中前打。2軍で励まし合った盟友だ。杉本はファームで打率3割7分、3本塁打。新体制発足から3戦連続スタメンの期待に応えた。

恩返しの一打だろう。1軍招集を待つなか、2軍監督だった指揮官の言葉が支えだった。「アカンかったり失敗したときでも下を向かずに切り替えて。次」。同点打を見届けた中嶋監督代行も両腕を突き上げる「中嶋ガッツ」で大喜びだ。

一方で指揮官は冷静さも失わない。同点直後の7回に起用したのは2軍9戦で防御率2・48と安定している富山だ。1軍戦は昨季の1試合登板だけ。西武は2番源田からの攻撃だったが、140キロ台後半の速球で2死を奪い、フォークで外崎を空振り三振。無失点でプロ初ホールドを挙げた。

最終回はプロ初登板の漆原に任せた。2失点も粘って初セーブ。昨季2軍で守護神に指名し、23セーブのセーブ王だった。誰よりもリリーフの適性を知る。春先から2軍で先発を重ねたが大役を託した。「(漆原と富山は)2人ともいい投球を続けていたのを見ている。自信を持って送り込みました」と中嶋監督代行。信念にブレはない。「ディクソンは(登板すれば)3連投。漆原を最後、が今日のプラン。いつでも僕はいけると思っている」。この日1軍昇格した2人を、勝負所で起用する大胆な用兵には根拠があった。2軍でキバを研いだチルドレンが躍動して3連勝。最下位のチームが息を吹き返しつつある。【酒井俊作】

▽オリックス・アルバース(6回途中3失点)「調子自体は悪くなかったと思うけど厳しい投球になってしまった。6回のホームランの失投は悔しいし、なんとか粘り強く投げたかった」