阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)がライブ解説。阪神が逆転勝利で25日ぶりに勝率5割復帰。4番ジェリー・サンズ外野手(32)が、2打席連発となる10号3ランと11号ソロを放つなど大活躍。先発の青柳晃洋投手(26)は7回4安打2失点で6勝目を挙げた。チームは25日中日戦から3試合連続の逆転勝ち。同一カード3連勝で借金返済となった。阪神の3試合連続逆転勝ちは17年7月11、12日中日、17日広島戦以来。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
中 日 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
阪 神 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1 | 1 | 0 | × | 6 |
【中】柳、谷元、山井、木下雄
【神】青柳、ガンケル、岩崎、スアレス
【本】サンズ10号3ラン(4回=110m)11号ソロ(6回=110m)
【真弓明信氏が見どころ語る】
-前夜は陽川、ボーアに本塁打が出て、打線は上向きだ
真弓氏 阪神打線の場合は好不調の波というよりは、相手投手との相性に左右されるところが大きい。投手の球速が150キロ近くなると、攻略に苦戦する。柳はコーナーをしっかり狙うタイプで、それほど速くはない。早めに点を取って、試合の主導権を握りたい。
-ボーアが5戦5発と好調だ
真弓氏 内角のストレートを打てるようになれば、本物だろう。まだどのタイミングで内を突かれるかの判断ができず、打てていない。配球がある程度、読めるようになると、相手投手も内角を投げづらくなり、さらに読みやすくなる。
-中日は甲子園で苦戦している
真弓氏 投手陣はナゴヤドームでは抑えられているが、甲子園では力が発揮できていない。ナゴヤドームはマウンドの傾斜に角度があり、投げ降ろされているような感じがした。昔は対策として、室内練習場でマウンドを高くして、打撃練習したこともあった。甲子園は傾斜も緩やかで、投手は投げづらく感じるのではないか。ガルシアが甲子園で勝てなかったのも、そういうことがあると思う。中日はいかに投手陣が踏ん張るかが鍵を握るだろう。
試合経過
<1回>
中日 先頭の大島が安打。京田が犠打。アルモンテの内野ゴロの間に大島が三塁へ。2死三塁からビシエドが適時二塁打で先制。2死一、二塁から阿部が適時打で追加点
阪神 3者凡退
【真弓明信氏の評論】
中日打線が青柳攻略の理由を解説。
-ビシエドは内角のボール球を、平然と見逃していた
真弓氏 ビシエドは打つ時に左肩を入れないタイプの打者だ。こういう右打者は、アンダースローの球筋を見やすい。左肩が入るタイプの打者は、下から出てくるアンダースローの球筋が見にくい。阿部もあまり左肩が入らない。私も現役時代は苦にしなかった。アンダースローに内角を突かれても、球に角度がないので、それほど怖さを感じなかった。球が抜けたとしても、上にはこないからね。
<2回>
中日 3者凡退
阪神 3者凡退
【真弓明信氏の評論】
-柳は球にキレがある
真弓氏 それほど球は速くないが、キレがある。コーナーをきっちり突いている。大山は背番号3がはっきりと見えるほど左肩が入ってしまっている。これでは内角球にあわててしまい、打てない。2回の打席では、4球目の内角球に完全に差し込まれて、ファウルになった。これでは外に変化球を投げようとは思わない。続けて、内角球を投げられ、見逃し三振になった。ボーアも内角への直球を決め球に使われた。どのチームも相手打者の傾向は分かっている。投手がそこに投げられるかどうか。柳はできるということだ。
<3回>
中日 3者凡退
阪神 3者凡退。柳は5者連続三振
<4回>
中日 3者凡退
阪神 先頭の近本が死球。木浪が二塁打。1死二、三塁からサンズが10号3ランで逆転
【真弓明信氏の評論】
柳の心理の変化を語る
-4回に先頭の近本を死球で歩かせた
真弓氏 ランナーが出ると、投手も大きいのを打たれたくないと思う。3回まではズバッと内角を攻めていたが、その割合も下がる。警戒して、内角に投げにくくなるものだ。サンズも内角寄りの球なら打てていないだろう。サンズが得点圏で強さを発揮するのは、カウントを整えてから狙い球をしっかり打てているからだ。ある程度、配球を読んで、1発で仕留められている。打席で全く慌てていない。中日バッテリーはまだ回が浅いので勝負したのだろうが、大山の打撃内容を見れば、サンズを歩かせて満塁策を取るのも手だった。
<5回>
中日 3者凡退
阪神 1死から小幡がプロ初安打。青柳が犠打で2死二塁。近本が中前適時打
<6回>
中日 先頭の大島が安打で出塁も後続続かず
阪神 1死からサンズが2打席連発の11号ソロ。阪神で来日1年目の助っ人2人が2桁本塁打を達成したのは、99年のジョンソン(20本)とブロワーズ(10本)以来21年ぶり。中日2番手は谷元。2死一、二塁から小幡は中飛
【真弓明信氏の評論】
サンズの良さを語る
-サンズが6回に甘いスライダーを逃さなかった
真弓氏 柳は4回と違い、走者のいない場面では思い切って内角を突いていた。サンズの打席もそうだ。ただ、3球目の内角球をしっかりと振って、ファウルにした。このスイングを見せられると、バッテリーも内角に投げづらくなる。外角のスライダーを決め球としたが、甘く入った。サンズは失投を逃さなかったが、1発で仕留められるのが彼の良さだ。1試合の中で、投手は意外に失投が多いもの。そこを仕留められるかどうかだ。
<7回>
中日 3者凡退
阪神 中日3番手は山井。1死三塁から木浪が適時打。2死二、三塁kら大山は空振り三振
【真弓明信氏の評論】
-木浪は内角スライダーをうまく打った
真弓氏 うまく打ったが、ストレートなら、打ててないだろう。木浪は打席で粘りがある。打率2割3分台だが、もう少し打っているイメージがある。それはつまらない凡打が少ないからだ。一方で陽川は4回のチャンスでボールゾーンからボールゾーンになるスライダーを空振りし、三振に倒れた。こういう球を見逃せるようになると、打者有利のカウントに持ち込め、打率がグッと上がる。打撃の内容が悪いので、次に使おうという気がなくなる。いいものを持っているが、調子が長続きしないのは、そういうところにある。
<8回>
中日 阪神2番手はガンケル。先頭の遠藤が安打、1死一塁から井領が安打で一、三塁。阪神3番手は岩崎。1死一、三塁から大島の内野ゴロの間に三塁走者が生還。2死満塁からビシエドが左飛
阪神 中日4番手は木下雄。1死満塁から近本、木浪が凡退
【真弓明信氏の評論】
阪神青柳89球降板は疑問
-青柳を89球で下げた
真弓氏 2回以降はボール先行せずに、早めに追い込めている。そこが踏ん張れた要因だ。89球で降板させたのは疑問だ。あの内容なら、続投しても8回はあそこまでピンチにならなかっただろう。先発は次の登板まで1週間も休める。これからの連戦を考えると、中継ぎにも負担がかかる。2番手ガンケルを打者3人であきらめ、岩崎に代えたが、そういう使い方なら、最初から起用しないほうがいい。
<9回>
中日 阪神4番手はスアレス。3者凡退で試合終了
【真弓明信氏の評論】
-阪神は3連勝で勝率5割に戻した
巨人に近づくために必要なものは何か 真弓氏 相手投手のタイプにかかわらずに、点が取れるようになることが必要だろう。心配な点は、終盤の継投だ。この試合では中押し点が取れたが、追加点がなければ、今の中継ぎ陣では怖い。9回のスアレスは安定してきただけに、その前を投げる投手をいかにやりくりしていくかがポイントになる
スタメン
【中日】
1(中)大島
2(遊)京田
3(左)アルモンテ
4(一)ビシエド
5(三)高橋
6(二)阿部
7(右)遠藤
8(捕)木下拓
9(投)柳
【阪神】
1(中)近本
2(遊)木浪
3(右)陽川
4(左)サンズ
5(三)大山
6(一)ボーア
7(捕)梅野
8(二)小幡
9(投)青柳