ハッピーサンズで、3年ぶりの3試合連続逆転勝ちだ。阪神は2点を追う4回、4番ジェリー・サンズ外野手(32)が試合をひっくり返す10号3ラン。6回にも来日初の2打席連続弾を放ち、4打点と大暴れした。前日はボーアが来日2度目の2発を決めるなど両助っ人が状態を上げ、チームは25日ぶりに勝率5割に復帰。首位巨人も3連勝で6・5ゲーム差は変わらずだが、“逆転の虎”が負けじと背中を追い続ける。

  ◇    ◇    ◇

サンズの打球は、歓声とともにスタンドへ飛び込んだ。2点を追う4回1死二、三塁、柳の直球を力強く振り切った。節目の10号は値千金の逆転3ラン。「自分の仕事ができて良かったね。ハッピーハンズ!」。25日にはお決まりのパフォーマンス「ハッピーハンズ」フェースタオルが発売されたばかり。この日も手をヒラヒラさせると、球場のファンは総立ちだ。「チームメートも、ファンの皆さんにも楽しんでもらえてると思うのでうれしいよ」。これで一気の波乗りだ。

6回はスライダーをとらえて来日初の2打席連続弾。左翼席中段に飛び込む特大アーチで、柳を降板させた。お立ち台では「タイガースファン、メッチャオオキニ!」と日本語でファンに感謝した。前夜は来日2度目の2発を放ったボーアがお立ち台。阪神来日1年目の助っ人2人の2桁本塁打は、99年ジョンソンとブロワーズ以来21年ぶりで、歴史の扉をこじ開けた。

今春の沖縄キャンプ。フリー打撃で他の野手たちが数分間打ち続ける中、サンズとボーアは4、5球打って交代を繰り返していた。井上打撃コーチが「他の野手みたいにもっと打てよ!」と声を掛けても「そんな、疲れちゃうよ~」と冗談交じりにはぐらかす。しかし、そんな姿勢は自然と変わっていった。帰阪後の甲子園練習。2人の助っ人は他の野手陣と同様に、約5分間ひたすら打ち込んでいた。誰かが言ったわけではない。実戦で結果が出ない中で「やらなきゃいけない」という使命感が2人を突き動かした。少しずつ日本流になじみ、今ではオリジナルグッズが発売されるほどの愛されキャラだ。

チームは3年ぶりの3試合連続逆転勝ちで、25日ぶりに5割に復帰。サンズは得点圏打率を4割6分2厘に上げ、堂々のセ界1位だ。「事前の準備で考える部分は毎回心がけているけど、あとは基本的に自分のスイングをすることだけ」。状況や配球をしっかり頭に入れ、落ち着いて打席に入る。頼もしい主砲に矢野監督も「サンズが素晴らしい一振りで流れを一気にこっちに向けてくれた」と最敬礼だ。曜日別打率は火曜日が最高の5割6分。木曜日は最低1割だったが、そんな負のデータも豪快な打撃で吹き飛ばした。首位巨人猛追へ、4番サンズが逆襲を引っ張る。【磯綾乃】

 

▼阪神サンズが10号3ラン、11号ソロを打ち、2桁本塁打に到達。ボーアも12本打っており、外国人選手2人が2桁本塁打は、阪神では14年のマートン(14本)、ゴメス(26本)以来。来日1年目の阪神助っ人では、99年のジョンソン(20本)、ブロワーズ(10本)以来21年ぶり。ブロワーズは95年にメジャーで23本塁打するなど期待され、66試合で4番を打ったが不振で途中退団。ジョンソンも前半戦は活躍して一時チームの首位躍進を支えたが、チームは最終的に最下位となり、1年で退団した。