19歳の若虎が甲子園で光り輝き、3試合連続の逆転勝ちに一役買った。高卒2年目の阪神小幡竜平内野手(19)が、出場4試合目、プロ7打席目で初安打を放った。5回1死走者なしで、中日柳の外角シンカーに食らいつくと、打球は中堅手大島の前で弾んだ。「すごくうれしかったです」。

8月21日にプロ初昇格。2試合連続でスタメン出場し、まずは持ち味の守備で球場を沸かせた。4回、先頭の4番ビシエドの強烈なセカンドライナーをジャンピングキャッチ。そのワンプレーでリズムに乗った。 5回のプロ初安打につなげると、青柳の犠打で二進。近本の中前打で、三塁を蹴った。本塁へヘッドスライディング。「もう本能的に頭からいっちゃいましたね」。与田監督がリクエストする間一髪だったが、リードを2点差に広げる千金走塁でプロ3得点目。泥だらけになってはにかんだ。

「絶対に負けたくないんです」。ミレニアム世代と称される中日根尾、ロッテ藤原、広島小園は同じ2000年生まれの同世代。藤原と小園は1年目の昨季初安打を放ち、根尾も今季8月11日に打った。「ひとまずは同じ舞台に立てた。まだまだですけど、根尾世代が変わるように頑張ります」。この日の一撃にライバルたちへの思いを込めた。

もうひとり刺激になる同世代がいる。巨人戸郷は同じ宮崎県のライバル校、聖心ウルスラ出身。18年夏の宮崎県選抜で同じチームだった。藤原、根尾らを擁するU18高校日本代表と戦った戦友に「(その時が)初がらみでした。対戦したことなかったです。話してみたらめっちゃ優しかったです」。巨人の先発ローテを守り、この日ヤクルト戦に先発して7勝目をマーク。「去年からすごかったですけど…。ずっと意識して見てます」。新人王レースを突き進むライバル右腕にも追いつけ追い越せだ。

8回にも中前へ運んで、初のマルチ安打も記録した。初安打のボールは「両親に渡します」と即答。「どんどんトレーニングをして、先輩を追い抜きたいと思います!」。楽しみな新戦力が加わった。【只松憲】

▽阪神矢野監督(小幡について)「うれしいですね。プロに入って初ヒット。大分ですかねお父さんお母さんも。高校野球の監督やいろんな方が喜んでくれるヒットになったと思いますし、またもう1本出ましたしね。プロとしての第1歩を一緒に戦えたっていうのがうれしいです」

▽阪神井上打撃コーチ(小幡について)「今日は初ヒットを打ったというのは、危なっかしい守備もあったけど、見てて何かワクワクするというか、なんかしてくれるんじゃないかと思わせてくれる。見ての通り、俺は『網戸』って言っているんだけど(笑い)。(体が細くて)ぺらぺらだから(笑い)。鍛え上げていかないと。もちろんしなやかなスローイングや、守備力は魅力なので。そういったモノを伸ばしながら、守備だけでは生きていけないんで。レギュラー取るためにハッパをかけていきたいと思います」

<阪神小幡アラカルト>

◆生まれ 2000年(平12)9月21日、大分市生まれ。

◆球歴 小3で明野北ソフトボールクラブに入団し、投手兼遊撃手。中学から明野ボーイズで遊撃専念。

◆高校 延岡学園では2年の17年秋から4番。18年春のセンバツで甲子園に出場し、2回戦敗退。

◆ミレニアム世代 18年ドラフト2位で阪神入団。同期には中日根尾、ロッテ藤原、広島小園など18年夏の甲子園を沸かせたミレニアム世代が勢ぞろい。巨人戸郷も宮崎で同学年。

◆お試し1軍 高卒1年目の19年、秋季安芸キャンプのメンバーに抜てきされた。今年3月15日オリックス戦とのオープン戦で初の1軍戦に遊撃守備から途中出場。後藤の痛烈なゴロがを手堅くさばいた。打撃は2打席連続空振り三振。

◆バットマン 今月8日のウエスタン・リーグ広島戦(由宇)で自打球を当てて鼻骨を骨折。負傷から3日後の11日同リーグオリックス戦で、鼻骨骨折しながら出場した鳥谷をほうふつさせる黒のフェースガードを着用してスタメン復帰。2安打2盗塁を決めた。

◆サイズ 184センチ74キロ、右投げ左打ち。50メートル走6秒1。遠投110メートル

◆家族構成 独身。父、母、兄2人、弟