エースが意地を見せた。阪神西勇輝投手(29)が、今季2度目の中5日登板で6回3安打3失点と粘りの投球。両リーグトップとなる10度目のクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)を記録した。

「序盤は苦しい展開で、しんどい投球になってしまいました」。1回に菊池涼に先制ソロ、2回には坂倉に2ランを献上した。3回2死一塁では、鈴木誠への2球目にプロ12年目で初のボーク。その後敬遠と四球で2死満塁のピンチを背負ったが、ピレラを初球外角シュートで詰まらせて遊ゴロに仕留め、難を逃れた。

右腕は中盤から一気にギアを上げた。「回を追うごとになんとか梅野のリードに応えることができるようになりました。梅野が引き出してくれました」。4回から6回は打たせて取る投球で、1人の走者も許さずリズムにのった。被安打3のうち2本が本塁打と1発に泣いたが、苦しい立ち上がりから修正して試合を作った。矢野監督も「あそこ(序盤)から粘るって簡単なことじゃない」とうなずく。

9回に女房役梅野の併殺崩れで一時同点に追いつき、自身の負けが消えた。これでマツダスタジアムではオリックス時代から通算8試合に登板して5勝負けなし。防御率も2・25と得意としている。チームはサヨナラ負けしたが、エースの安定感は変わらない。【只松憲】