イヌワシ打線が、最後の最後に牙をむいた。楽天が3点を追う9回、日本ハムの守護神秋吉を打ち崩し、ひっくり返した。岡島の同点適時二塁打、田中の勝ち越し適時二塁打など、この回7連打で5得点。8回まで2安打も、12球団唯一のチーム300点超えの打線が火を噴いた。連敗を3で止め、4位日本ハムとの同率3位も逃れ、2ゲーム差をつけた。優勝争いへ土壇場で食らいついた。

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三木監督が感情を爆発させた。3点を追う9回1死満塁。岡島が左中間を破る走者一掃の同点打に、続く田中も左翼フェンス直撃の勝ち越し適時二塁打。顔を赤くした三木監督が右腕を掲げ「よっしゃ!」と叫んだ。選手、コーチ、スタッフと狂喜乱舞した。

三木監督 何が起こるか分からないので感情を出すのはどうかなと。でも今日はちょっと違う。選手と一緒に声を出した。こういうことも大事なのかなと勉強になった。選手にありがとうございます、ですね。

うっぷんを晴らした。8回までは鈴木大の2安打のみ。でも、ただでは終わらない。日本ハムの守護神秋吉から、鈴木大の右前打を皮切りに5安打。続く堀から途中出場の下妻が3年ぶり通算2安打目の右前打。銀次も右前へ31試合ぶりの適時打で7連打。ドバドバと得点が生み出した。

鈴木大 後ろに良い打者がいるので出塁すれば何とかなると思った。

岡島 チームのみんなが満塁で回してくれて絶対打ってやろうと思った。

田中 大地さんから先輩方がつないでくれたので初球から行こうと思った。

負ければ今季最長タイの4連敗。最多8の貯金が最少タイの1。4カード連続負け越しに4位日本ハムと同率3位。負のデータが並ぶところだったが、チーム一丸で吹き飛ばした。

ドラマは簡単には終わらない。9回1死満塁。守護神ブセニッツが日本ハム西川を一ゴロ併殺で勝利!…となるはずが、一塁のアウト判定に日本ハム栗山監督がリクエスト。約2分後。判定変わらず試合は終わった。三木監督は両腕を突き上げ、ベンチ前で選手たちを迎えた。「この勝ちを明日につなげないとダメ。ただ隙にもなってはいけない」。混パの熱は冷まさない。【桑原幹久】