矢野阪神が「勝つしかない」と必勝を期した首位巨人戦で守り負け、今季最大タイの8・5ゲーム差をつけられた。中堅の近本光司外野手(25)が、浅い2度の本塁タッチアップで悪送球と力ない返球で2得点を献上。矢野燿大監督(51)は「近本で負けたかな」と厳しく指摘するしかなかった。高橋を今季初の中5日で立てたが、引退発表した藤川球児投手(40)も願う逆転Vが遠のく3位後退。10日にも自力Vの灯が消える。

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重い1敗を喫した。終盤の追い上げも、あと1歩届かなかった。首位巨人との崖っぷちの直接対決で敗れた。宿敵と今季最大に並ぶ8・5ゲーム差となった。「ちょっとミスが響きましたね」。矢野監督は敗因を端的に示した。

言葉通り、守備の乱れから主導権を渡した。0-0の3回表。1死満塁で松原の左中間寄り、浅めの飛球をセンター近本が捕球。タッチアップをうかがった三走大城は、数歩出たところでストップした。2死満塁になるはずが…。

中堅近本は本塁へ高い球で送球。これが大悪送球となった。バックネット下のフェンスにワンバウンドで当たる返球。1度止まった大城の先制生還を許した。

2点目失点もミスが絡んだ。4回先頭、岡本の打球を遊撃木浪はさばけず失策。その後、追加点につながった。この2点目献上は浅い中犠飛によるものだったが、3回のミスの影響か、近本の本塁送球は3バウンドと力ないものだった。

チームは7試合連続失策で、両リーグワースト51失策。近本の3回の返球ミスはチーム50個目のエラーだった。指揮官は言った。

矢野監督 きょうは近本で負けたかなと思ってます。ただ、僕はいつも「終わったことは変えられない。これからは変えられる」と選手に言っている。近本自身が成長して、近本自身が残りの試合でどうやってチームを勝たせていくか、そういうことが求められる。また、チームとしても、こういう大事な試合でこのような結果は監督としても悔しい。ここから、確率、可能性は厳しくなりましたけど、どういう姿を見せていくか、というのが僕らの課題かなと思います。

確かにチームはさらに窮地に追い込まれた。前カードまで4カード連続勝ち越していたが、中止1試合を挟んだ今カードは1勝2敗。差を詰めるはずが、逆に広げられた。3位転落。10日にも自力優勝が消滅する可能性がある。だが、すべてが終わっただけではない。巨人戦も15日からの3連戦を含め、残り11試合ある。悔しいミスも、敗戦も、今後の糧にし、結果で示すしかない。7回守備から交代となった近本も言った。

「大事な試合で、自分のミスで失点してしまい、本当にやってはいけないミスをしてしまいました。あのプレーでチームが負けてしまったということをしっかり受け止めて、同じことを繰り返さないように、しっかりやっていきます」

きっと虎は、このままでは終わらない。【松井周治】

▼阪神は最短10日に今季の自力優勝の可能性が消滅する。条件は8日から阪神がDeNA戦に●●●なら巨人が中日戦○○○または○○△、阪神●●△のときは巨人が○○○、など。なおシーズン全143試合だった昨季は、86試合目の7月16日中日戦に敗れ自力優勝が消滅している。