西武山川穂高内野手(28)が、日本人最速での通算150号を達成した。

6回の第3打席で、左翼席中段へ今季21号を運んだ。498試合での達成は、西武の先輩、秋山幸二の528試合を30試合更新する快挙。一方で、チームはソフトバンクに4-8で敗れ5カードぶりの負け越しが決まった。首位と10.5ゲーム差と大きく水をあけられ、13日に敗れると自力Vが消滅する崖っぷちに立たされた。

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山川が対峙(たいじ)するマウンドへ、鋭い目線を向けた。ソフトバンク武田に2三振を奪われて迎えた6回の第3打席。カウントは1-1。外角カーブを振り抜いた。左翼席中段へ飛び込む打球。通算150本目の21号ソロ。498試合目での達成は日本人最速となり「やっぱり勝ちたかったですけど、どういう状況でも1本出たことはうれしかったです」。29打席ぶりの1発が節目のアーチとなった。

昨年5月に札幌ドームで100号を達成した打席。マウンドのバーベイトを、まるでにらみつけるように目を見開いていたが、理由があった。「周辺視野っていうんですかね。ボーッと全体を見るような感じ。うまく説明できないけど、その方がボールが見える。僕にとって大事なのは目なんで」。100号から1年4カ月で、50本塁打を積み重ねた。その間も、たびたびマウンドの投手に“にらみ”をきかせていた。山川流のホームラン打法だった。

試合前には辻監督から身ぶり手ぶり打撃指導を受けた。「僕も気づかない部分もある」。助言を聞きながら、打席では自分で判断する。ベンチでは「キャッチャーとして、選手会長として、いろんなものを今年は背負ってやっている分、一番苦しい」と弟分の森に気を配る。野球人として、目配り、聞く耳も広い器量を持つ。グラウンドを出ればピアノ、習字、将棋と特技は野球の域を超越する。

波に乗りきれないまま、残りは49試合。「なかなか調子も上がって来ず、チームも、というところもあるんですが、毎日試合は必ずある。前向きにやって、しっかり切り替えて明日は勝ちたい」。勝てなかった悔しさから、喜びきれない150号。次は151号で、崖っぷちからチームを救う。【栗田成芳】