関甲新学生野球のチャンピオンシップラウンドは、3日から始まる。ファーストラウンド(1次リーグ)B組を2位通過した新潟医療福祉大は、秋季リーグ優勝を懸けて強豪大と激しい戦いを演じる。148キロ右腕の伊藤開生投手(4年=成城)が、大学生活最後の舞台で快投を誓う。初戦の相手はファーストラウンドで2敗している上武大だ。

   ◇   ◇   ◇

速球には威力とキレがある。伊藤の右腕が生み出すストレートの最速は148キロ。高校時代に1度だけ計測した135キロから、大学で球速は13キロ伸びた。「投球の軸はまっすぐ。コーナーに強い球を投げて、直球を意識させながら変化球でタイミングを外したい」。持ち球のスライダーとスプリットの握りを大学で変え、変化の鋭さを身につけた。カットボールも大学で覚え、武器の1つに加えた。そんな大学4年間の集大成がチャンピオンシップラウンドだ。

ファーストラウンドでは作新学院大、常磐大、上武大と、対戦大との第1戦で先発を担った。個人成績は1勝2敗だったが、第1戦を任されるのは指導スタッフの信頼の表れ。伊藤も「チャンピオンシップラウンドでも1戦目を任されたらゲームを作りたい。1、2失点に抑えたら、ウチの打線なら3、4点は取ってくれる」と言う。狙うのはチームの勝利。「ストライク先行の投球をしたい」と打者に対して優位に立ち、持ち前の速球を有効に使う投球を目指す。

中高一貫の進学校・成城(東京)では超難関私大の指定校推薦をクリアしていたが、進路は新潟医療福祉大を選んだ。「高卒でプロに行けるレベルではなかったから、大卒で目指す」という決意の入学だった。新型コロナウイルスの自粛期間明けには、複数のプロ球団スカウトが大学を訪問。9月には日本大学野球連盟にプロ志望届も提出済みで「育成でもいいからプロの世界でやりたい」と言う。

「マウンドに上がるだけで勝てる、と周囲に安心感を与える投手になりたい」と、今季開幕12連勝した巨人・菅野智之投手(30)が憧れの存在。大学最後の関甲新で、伊藤は理想の投球を追い求める。【涌井幹雄】

◆伊藤開生(いとう・かいせい)1998年(平10)5月30日生まれ、東京都出身。東京・成城高卒。野球は小学2年から始める。高校では1年秋から背番号1を背負った。昨秋リーグ戦は主に救援で5試合に登板し1勝0敗、5失点(自責点1)で防御率0・53。17回を投げて10奪三振。右投げ左打ち。187センチ、84キロ。血液型B。