日本ハム有原航平投手(28)は表情を変えずに、放物線の行方を見つめた。

2回。先頭で迎えた、4番柳田への初球だった。宇佐見が構えた内角低めへ要求通りに150キロ直球を投げたが、一振りで捉えられた。打球は左翼席へ。規格外のパワーと打撃技術に屈した先制の25号ソロが、決勝弾となった。

6回1死二塁から失った2点目も初球だった。中村晃の負傷で試合が5分間中断。勝負どころで生まれた間が影響したのか…。開始直後、栗原への第1投。直球は外角低めのミットより少し内側へ。「あっ」。口を開けて振り向くと、打球は左翼・近藤の前で弾んだ。

積極的にバットを振る相手打線に対し、交わすことはなかった。「序盤からストライク先行で攻めることができたのはよかった」。8回まで投げ切って、わずか94球。内容は悪くなかったが、リーグワーストタイの8敗目を喫した。「追加点を防がなければいけないところで、しっかりと抑えないと味方に流れを持ってくることはできないので、もっと粘れるようにしたい」と反省した。

打線はまた、東浜に封じ込まれ、投打がかみ合わなかった重い1敗。栗山監督は、勝たせられなかった有原に「本当に申し訳ない」。チームは3カード連続の負け越し。勝ちきれない今季を象徴するような試合だった。【木下大輔】