日体大が8-0で桜美林大に勝利し、開幕から負けなしの4連勝で17年秋以来の24度目の優勝を果たした。

先発の筒井恒匡投手(3年=松本工)が8回を投げ2安打11三振と好投。打線も初回に堀口遼馬捕手(3年=日大藤沢)が左越え3点本塁打を放つなど、投打で圧倒した。

特別な思いがこもった優勝だった。3年前の9月25日、当時1年生だった同部の相曽幸宏さん(帝京)が髄膜炎で亡くなった。外野手として期待されていた選手だった。生きていれば、ちょうど4年生。同学年の仲間たちにとって、最後のリーグ戦だった。主将の高垣鋭次内野手(4年=智弁和歌山)は「同級生だったので…相曽の思いも背負って戦いました」と胸の内を明かした。6回には1死一塁から自らのバットでダメ押しの左越え2点本塁打を放ち、優勝を決定づけた。

9回の最後の守備では「最後は4年生の手でリーグ優勝を」と、古城隆利監督(51)が守備についていた下級生を全員4年生に交代。ベンチで相曽さんの遺影が見守る中、9回からマウンドに上がった上羽一平投手(4年=紫野)が空振り三振で仕留め、優勝を決めガッツポーズ。スタンドからはこの1週間、サポートに回ったメンバー外の4年生が色とりどりの紙テープを投げ入れ、喜びを分かち合った。古城監督は「相曽が、チームを守ってくれる力になった」と目を潤ませた。

秋季リーグ戦開幕前夜、古城監督はチームのグループラインにメッセージを送った。(一部省略)

「(3年前の)チームは日本一を獲得しました。彼が見守っていてくれていたと思います。そして同級生が最終シーズンを迎えたこのチームも見守ってくれていると思います。

相曽の墓参に優勝旗を持って行き、優勝を分かち合えるように、全身全霊を掛けて戦ってもらいたい。

明日からのリーグ戦を部員一丸となって戦い、必ず優勝を勝ち取る。絶対に引かぬ。攻めて、攻めて、攻めまくる」

亡きチームメートへの思いを胸に戦った日体大の選手たち。11月9日からは明治神宮大会出場をかけ「第16回関東地区大学野球選手権大会」に出場する。古城監督は「まだこれは通過点」と力を込めた。日本一の優勝旗を手にするそのときまで。日体大の選手たちの戦いは、友への熱い思いとともに続く。【保坂淑子】