ついに並ばれた。ソフトバンクが苦手ロッテとの首位攻防3連戦初戦で敗れた。

本拠地ではこれで対ロッテ6連敗。5連敗時点ではダイエー時代の96年以来ワーストタイだったが、南海時代も含めて、球団史上初めての屈辱となった。勝率1厘差でか辛くも単独首位を守るが、ゲーム差は0。工藤公康監督(57)は「同じところに立たれた。食うか食われるか、やるかやられるかくらいの強い気持ちを持ってやらないといけない。明日しかないくらいの気持ちでいきたい」とチームを鼓舞するように言った。

見えない何かの力にでも支配されているような展開だった。先発はムーア。初回先頭藤原に内野安打され、四球と死球で無死満塁。4番安田にも四球で、押し出しが先制点となった。続く打者井上の場面でも目を疑うようなプレーが出た。平凡なゴロを三塁松田宣がホームへ送球。だが捕手の甲斐が胸元に来たボールをキャッチできず、思わぬ形で2点目を献上した。

ソフトバンク投手陣はリーグ最多の四死球を与えているが、中でも対ロッテは試合前時点で1試合当たり6・3個と突出して多い。ムーアは制球で崩れるタイプではなかったが、この日は来日最多の4四死球を与えた。「今日からの試合が大事だということも、チームが遠征後の移動ゲームということも分かっていたけど、ミスの多い試合になってしまった」。メジャー54勝左腕も「天敵」の魔力にのみ込まれた。

打線も苦手二木に昨年から0勝7敗となった。初回中村晃の6号ソロが唯一の得点で、3回から6回は無安打。7回までに見逃し5つを含む9三振を奪われ、反撃のチャンスすら作れなかった。ロッテ戦は昨季の8勝17敗に続き、今季も4勝11敗1分けと大負け。今日10日も敗れれば、8月21日以来の首位陥落となる。3年ぶりリーグV奪回へ、タカナインの意地が試される。【山本大地】