初球ストライクが、入らない。日本ハム上沢直之投手(26)は、マウンドで苦しんでいた。

昨季から6連勝中だった得意の“山賊狩り”に臨んだものの、立ち上がりからボール球が先行。「点を与えてはいけない場面で、ことごとく打たれてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです」。6回を9安打、今季自己ワーストに並ぶ5失点(自責4)で5敗目を喫し、悔しそうに顔をゆがめた。

打者31人に対して、初球をストライクゾーンに投げることができたのは17球だけ。1回に中犠飛で先制点を失うと、3~6回は、まるでリプレーのように、先頭打者の出塁から失点した。「抑えるためにいろいろ工夫していたつもりでしたが、結果に表れず、とても悔しいです」。5回、2死三塁からメヒアに中前打されて4点目を失い、10試合ぶりにクオリティー・スタート(QS)をクリアできなかった。

左膝の大ケガから復帰した今季、足の筋力の衰えから「探りながら投げている感じはずっとあった」。オフには、筋力アップの必要性を痛感している。それでも、前回登板までに積み上げた白星は8つ。“ミスターチューズデー”として、カード頭となる火曜日のマウンドを守ってきた。

試合前に「前後際断。目いっぱいいくしかない」と“禅”の言葉で気合を入れた栗山監督は「もっとしっかり点を取ってあげていたら、こういう流れには、ならなかったかもしれない」。チームの勝ち頭で先勝できず、借金は今季ワーストの9に膨らんだ。【中島宙恵】