奈良学園大が接戦を制し、18年春以来4季ぶり44回目のリーグ優勝を決めた。(20年春は中止)。

1点を追う3回に1番指名打者・大森蓮大外野手(4年=大商大堺)の左中間ソロで同点。4-2の8回には1点差に詰め寄られ、最終回にも一打同点のピンチを招いたが、大畑理暉(履正社)、熊谷公希(大体大浪商)、井関大虎(啓新)の4年生3投手の継投で、粘る相手打線の反撃を振り切った。酒井真司監督(43)は「最後もたもたしたけど、4年生が頑張ってくれて良かった」と目尻を下げた。

投手陣の大黒柱・大畑が、最後はおとこ気を見せた。9月28日の対神戸大初戦では、中継ぎで登板も6-7で敗れ敗戦投手。酒井監督は「神戸大戦で元々つまずいたのも大畑なので。大畑が『2戦目と3戦目は僕が放ります』と。お前に任せたぞと言いました」と最後は大畑に託した。

右腕も意地を見せた。「(監督の)酒井さんにリーグ戦前に『最後は笑ってやって欲しい』と言われていた中で笑えないことをしてしまった」。失敗を取り返すかのように、29日の第2戦ではノーヒットノーランを達成。負ければV逸となるこの日の3戦目では、先発し7回途中10安打3失点。完投はかなわなかったが試合を作り「個人としては投げきりたかったです。うれしいけど複雑。長年秋の優勝がなかったので、そこをやってきた結果優勝できたことは良かったです」と率直な思いを明かした。

今秋の明治神宮大会は中止が決定しているが、連盟の代表として、11月6日(南港中央野球場)から開催される関西地区大学野球選手権に出場する。「勝っていく難しさとか、姿勢を後輩に見せていけたらなと思います」。目指してきた全国の舞台はコロナ禍に奪われたが、最後まで戦い抜く背中を見せることが、後輩たちへの置き土産になる。