ソフトバンクが27日、3年ぶり19度目のリーグ優勝を果たした。

ソフトバンク東浜巨投手(30)が日刊スポーツに手記を寄せた。初めて開幕投手を務めた今季は8勝1敗、防御率2・18の安定感。コロナ禍による開幕延期、打球が当たるアクシデントを乗り越え、先発の柱として優勝に貢献した。

家族が医療従事者で、周囲に感謝する気持ちを強くし、耐え切ったシーズンを記した。

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コロナの影響もあり、なかなか特殊な形のシーズンでした。優勝に少しなりとも貢献できたこともですが、最後まで試合をできたことが一番うれしいです。安心したというか、まずはそんな気持ちです。

今年は初めて開幕投手をさせてもらいました。当初の3月から6月へ、開幕が延期となり間が空いたのが一番しんどかった。最悪、シーズンがないかもと思いました。仮に開幕できても一から体を作り直して、また開幕投手へアピールしないといけない。そのしんどさもありました。昨年は右肘を手術して1軍でほぼ投げていないですし、今年への思いが強かっただけにモヤモヤしました。でも去年投げられなかった分、今年は投げられているし、いつかは開幕するだろうと言い聞かせていました。

16勝で最多勝をとった17年よりも今年の方が良かったです。17年は勢いだけでしたから。自粛期間にちゃんと勉強したいと思い、ダルビッシュさんや千賀もやってるようですが、月額を払えばネットでいろんな人のコーチングが受けられる野球のオンラインサロンに会員登録しました。配球はもちろんのこと、フォームを分析して細かく数字化したものがあったりとか、参考になりました。

今年は打球が2度当たり、なんで運がないんだろうと自虐的にもなりました。開幕1週間前の6月12日は広島との練習試合で左太もも、7月17日のオリックス戦では右足甲。みんなから「もっとるなあ」って言われましたが、そんなの要らないよって感じです。実は右足甲は痛みがしばらくひかなかったんです。右足で踏ん張れずにフォームを崩しました。打撲と言われましたが、骨に響いていたし、骨折してるんじゃないかと半信半疑になるくらい。期待に応えたい気持ちで我慢していました。

周囲に感謝の思いが芽生えた年でもありました。母といとこが看護師をしていることもあり、感謝の気持ちを込めて、開幕前に沖縄の故郷、うるま市や小中高の母校にマスクを寄付させてもらいました。恩師や地元の方、疎遠だった人からも連絡が来て、やって良かったと思いました。

この1年、コロナもありましたがプラスに考えられています。「家時間」が圧倒的に増えて生活力も間違いなく上がりました。掃除をしてみて主婦の大変さも感じましたし、野球以外の気付きが多かったです。

チームに影響を与えられる投手になりたいと思っているので、最多勝の17年と開幕投手だった今年で優勝できたのはうれしいです。これから4年連続日本一に向けて、シーズンと同じ気持ちでマウンドに上がりたいと思います。(ソフトバンク投手)

◆東浜巨(ひがしはま・なお)1990年(平2)6月20日、沖縄・与那城町(現うるま市)生まれ。沖縄尚学で08年センバツV。亜大ではリーグ新の22完封、420奪三振を記録し、通算35勝。12年ドラフトで3球団の1位指名を受け、ソフトバンク入団。17年に16勝を挙げて最多勝。18年日米野球日本代表。今季推定年俸6700万円。183センチ、78キロ。右投げ右打ち。