東北福祉大(仙台6大学1位)はタイブレークの延長11回、3-2で富士大(北東北1位)に競り勝ち、今季公式戦12戦全勝で2年連続5度目(秋の東北地区代表決定戦含む)の優勝を飾った。プロ野球ドラフト会議でヤクルト4位指名の3番元山飛優内野手(4年=佐久長聖)が同点アーチと決勝犠飛を放って勝利を呼び込み、主将として有終の美を飾った。

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まさにプロ向きの千両役者だ。元山が大学生活最後の2打席を華やかに飾った。1点ビハインドで迎えた土壇場の9回表、この回先頭の元山は2球目の内角高めの直球を捉える。右翼へ、起死回生の同点弾をたたき込んだ。さらに、2-2で迎えたタイブレークの延長11回表1死二、三塁の場面。学生として最後の打席では、殊勲の中犠飛を放ち、勝利を呼び込んだ。最優秀選手賞(MVP)に輝いた元山は「最後はキャプテンが決めなければと思っていました。大学に入って一番興奮する熱い試合ができた。でも小、中、高と最後はすべてヒットだったのに大学はセンターフライ(決勝犠飛)で終わってしまった」と笑わせた。

同じヤクルトから2位指名の最速150キロ左腕・山野太一(4年=高川学園)が6回から3番手で救援。8回裏1死三塁、左犠飛で勝ち越しを許し、リーグ通算22勝を含む「大学公式戦負けなし」の肩書に危うく土が付くところだった。元山は「山野に負けをつけたら、あかん」と発奮。3回を1安打1失点の山野は「仲間に恵まれました。自分たちの代の公式戦で負けなしで終われてうれしい。これからも打ってほしい」と一緒にヤクルト入りする元山に期待した。

コロナ禍の中、春の全日本大学選手権に続いて秋の明治神宮大会も中止になった。だが、連盟の看板も背負い、東北地区代表決定戦で昨秋まで優勝4回で並んでいた富士大との盟主対決を制した。リーグ最終節から4戦連続のタイブレーク勝ちの粘りを発揮した。就任5年目の大塚光二監督(53)は「このチームでもう少し長く、全国でもやらせてあげたかった。勝てたと思う。控えの4年生も最後まで手を抜かずにやってくれた。感謝しかない」と、コロナ禍による制約の多い中でも、必死に野球と取り組んだ最上級生たちをねぎらった。【佐々木雄高】