関西国際大(阪神大学)のエース左腕・武次春哉(あつや)投手(4年=西脇工)が、伝説の広島江夏豊ばりのスクイズ外しで1点リードを守り、2年ぶりの決勝へ進出した。

164センチの小柄な左腕は軸足をグッと曲げ、力を込める独特の投球フォームで、奈良学園大から12奪三振。2安打1失点、113球で9回を投げきった。圧巻だったのは1点リードの8回1死三塁。相手8番の高田光基捕手(2年=明秀学園日立)が1ボールからスクイズを試みたが、武次は外角高めに瞬時にボール球を投げ、ファウルにした。武次は「(打者の)構えがおかしかったので、バットを(バントの構えに)動かした瞬間に、高めに強い球を投げてわざと外した」と、その瞬間を振り返った。

奈良学園大は強攻策に切り替えたが、高田を見逃し三振に打ち取り、続く代打も右邪飛に仕留めた。奈良学園大の酒井真二監督も「外したのなら立派。(この日の武次は)ここという時のギアの上げ方がすばらしかった」と脱帽した。

8日の決勝戦は近大(関西学生)と対戦する。阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(4年=仁川学院)とは下級生のころから練習試合で数多く対戦している。2試合続けての先発は難しく、登板は終盤での1、2イニングになりそうだ。「体はデカいけれど、器用ないい打者。いつも通り低めに投げたい」と警戒した。