山賊の大逆転劇が、1試合残して幕を閉じた。西武が2位ロッテとの直接対決に敗れ、3位確定。CS出場権を逃し、辻発彦監督(62)は「優勝してもソフトバンクにやられていたこともあって、逆の立場でリベンジできるチャンスでもあったんだけど、それができなくて残念」。2連覇しながら2年連続でソフトバンクに屈したCSの舞台に立てず、悔しさをにじませた。

リーグ3連覇を逃したが、2位と最大9ゲーム差からの奇跡の逆転CSは、明確な目標だった。2年連続本塁打王の山川、昨季首位打者の森の不振。それでも終盤は4番に栗山を据え、チーム防御率リーグ6位、同打率5位でも僅差勝負をものにして、激しい2位争いを演じた。しかし、毎年のようにFA移籍による戦力流出に、持ち前の育成力がついていかなかった。

現状を象徴するシーンは1点を追う6回の攻撃。3四死球で1死満塁の絶好機で、8番愛斗が3球三振、9番呉念庭も2者連続の空振り三振に打ち取られた。愛斗は今季初スタメン。前日の楽天戦で木村が右手を負傷する不運もあり、経験値の少ない若手を起用したが実らず。打撃個人タイトルも06年以来14年ぶり0人が濃厚。春季キャンプからシーズン通して野手の競争を促してきたが、大一番で層の薄さが如実に表れた。

就任4年、優勝2回ですべてAクラス入り。来季続投が基本方針となっている辻監督は「しびれるようなところで結果出すには、日ごろから緊張した中でやらないといけないし、そうしなきゃ1軍で飯を食えないと1人1人が考えて、これからやってくれれば」。底上げは急務。就任5年目の来季、リーグ優勝奪還を目指す。【栗田成芳】