広島鈴木誠也外野手(26)が残り2試合で球団新記録となる5年連続打率3割を狙う。首位打者を獲得した昨季、山本浩二、正田耕三、前田智徳らのレジェンドと肩を並べた。今季はチームが下位に低迷する中、徹底マークを受けながらも打率2割9分5厘。10日のヤクルト戦(神宮)で3打数3安打以上なら到達する。リーグを代表する若き主砲が逆転3割を目指す。

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若き主砲が残り2試合で球団OBが未踏の記録に挑む。シーズン残り2試合とした鈴木誠は東京移動前のマツダスタジアムで快音を響かせた。今季打率2割9分5厘。残る2試合で3打数3安打以上で3割に到達する。昨季まで4年連続打率3割で山本浩、正田、前田智に並ぶ球団記録を残しており、球団初の5年連続も不可能な数字ではない。

鈴木誠は個人記録よりも、チームの勝利を優先する。低迷する今季、難しさを痛感。シーズン終盤には、こう話していたこともあった。「自分の成績のためにやる野球はおもしろくない。自分が打てないとき、人が打っても喜べなくなる。僕の中で、それは野球じゃない。成績はあくまでシーズンが終わって残った数字」。個人記録への興味を示していなかった。

ただ、広島に限らずプロ野球の歴史を見ても、5年連続3割は誇れる数字である。朝山打撃コーチは「4年間積み上げてきたものなので。僕らからしたら、そこはぜひ何とか頑張って打ってもらいたいのはある。彼ならできないことはない数字」とバックアップを約束。打率3割がクリアされた時点で交代させる考えもあるという。

10日は敵地神宮でヤクルト戦。11日は本拠地でシーズン最終戦を中日と戦う。カード別打率ではヤクルトが5球団トップの3割4分1厘、中日が同2位の3割1分4厘。さらに球場別打率をみても、神宮は3割4分1厘、マツダスタジアムも3割9厘と相性がいい数字が残る。

2軍時代の鈴木誠を知る朝山打撃コーチは周囲が定める基準の高さに、主砲の成長を感じている。「野球選手としては規定(打席)に乗って3割はすごいこと。それで物足りないと言われるのは、もうそのくらいの選手になったんだよということ」。チームとともに苦しんだシーズンも残り2試合。無欲に、新記録に挑む。【前原淳】