阪神先発の藤浪晋太郎投手(26)が5回無失点9奪三振の好投で、今季最終登板を終えた。球児魂を胸に、来季へ光が差すマウンドとなった。

チーム最終戦を任された右腕は初回から全開。先頭宮本を142キロフォークで空振り三振。安打と四球で1死一、二塁としたが4番細川、5番ソトを連続三振。アウトを全て三振で奪い、無失点で立ち上がった。

4回は先頭の神里に二塁打を浴びて無死二塁のピンチを招いた。それでも続く細川の打席で巧みな二塁けん制で刺し、ピンチの芽をつんだ。

最大のピンチは5回。無死から連打を浴びて無死一、三塁。ここでも藤浪は落ち着いていた。送りバントを試みた8番投手の大貫は、直球で押してスリーバント失敗の三振。続く戸柱、宮本も連続三振で封じた。マウンド上で小さくほえた。

DeNA先発大貫も好投を続け、5回まで0-0。藤浪の球数は87球だったが、5回の攻撃で代打を送られ交代となった。17年4月27日DeNA戦以来となる1294日ぶりの甲子園白星はならなかったが、ベンチでは笑顔もみせた。試合終盤には今季限りで退団する能見も登板する見込み。締まった展開で、舞台も整えた。

「気温など難しいコンディションもありましたが、粘ることができたと思います。何とか能見さんまでいい形でつなぎたいと思っていたので。そういう意味では0点で抑えることができて良かったですし、この後の投手も精いっぱい応援したいと思います」

前日10日には、尊敬する先輩藤川の引退試合が行われた。藤川にはキャンプ中からシーズン中、2軍鳴尾浜で調整をする時に至るまで日頃からさまざまなアドバイスをもらっていた。先発登板を翌日に控えた中でも、試合後のセレモニーを球場で目に焼き付け、この日のマウンドに上がっていた。 今季は先発スタートもチーム事情で9月下旬に中継ぎ転向。救援で好投を見せ、10月28日中日戦(甲子園)ではブルペンデーのオープナーとして先発復帰した。4回1失点(自責0)でチャンスをものにし、先発再転向をつかみ取った。

前回登板の4日ヤクルト戦(甲子園)も勝ち星こそ付かなかったが、6回4安打無失点と力投していた。

救援登板の10月6日広島戦(マツダスタジアム)から続く連続自責点ゼロを24イニングに伸ばし、納得の表情で今季を終えた。来季へ楽しみが広がる、魂のこもった投球だった。