紆余(うよ)曲折だった阪神のシーズンに終止符が打たれた。

吉田 藤浪は自信を取り戻したようですな。際どい球を見極められるとわからないが、DeNAの拙攻に助けられた。抑えは難しいから先発だろう。阪神は開幕の出足でつまずいたのが響いた。普段巨人をほめないが、今年に限っては原監督が1軍から3軍までをつぶさに掌握し、その用兵を生かした戦いぶりにみえました。

対巨人は8勝16敗で9年連続負け越し。数字以上に攻守にチーム力の差を見せつけられた。

吉田 開幕からの戦いをみていると、総合力で勝った巨人に対し、チームを把握する点で、矢野監督はそれが出来なかった。シーズン通して相変わらずミスが積み重なった守備力は徹底して技を磨いてほしい。ボール球を振らない技術も身につけることです。

昨オフは鳥谷、今季限りで福留、能見、藤川らが退団。一方で大山、近本らが成長をみせた。

吉田 阪神は世代交代した。今季の巨人がそうだったが、来季の阪神は芽生えてきた人材をうまく伸ばしながら戦ってほしい。二塁の守備をみていると小幡はショートだろう。選手を育てながら勝つために、トレードも、新外国人も必要だと思います。

将来性豊かなドラフト1位の近大・佐藤輝明(4年=仁川学院)加入をチームの刺激にしたい。

吉田 佐藤は足が速くて長打が魅力とうかがっている。内外野を守れるらしいが、内野なら一塁しかない。大山は苦労して実力で三塁の座をつかんだから競い合うことはないからです。佐藤の守備は見ていないので、正直、今は言及しない。このような年でもファンが球場に足を運んでくれたのは阪神に歴史と伝統があるからです。全員がこの有り難みを胸に刻むことです。チームは決して停滞していない。来年は矢野監督にとって真価が問われるシーズンになる。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】