名参謀復帰。広島が今季最終戦で中日に敗れた。佐々岡真司監督(53)の1年目は52勝56敗12分けの借金4で9年ぶり5位に沈んだ。来季に向けて投手再建や機動力野球の再構築が求められ、今季までヤクルト外野守備走塁コーチを務めた河田雄祐氏(52)がヘッドコーチ格で復帰することが決まった。16年からの2連覇に貢献した名コーチとともに、理想の「守り勝つ野球」を追求していく。

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戦績だけでなく、盗塁数もBクラスに終わった広島に、機動力野球の頭脳が戻ってくる。16、17年の連覇に1軍外野守備走塁コーチとして貢献した河田氏が4年ぶりに広島へ復帰することが決定。ヘッド格で2年目の佐々岡監督を支える役割を担うことになりそうだ。若手はすでにみやざきフェニックス・リーグを戦い、主力を除く1軍選手も4日間の休養の後、秋季練習を開始する。今季の悔しさを来季、晴らすための戦いはもうすぐに幕を開ける。

「あらためましてファンのみなさんの声援に支えられているんだなと感じた1年でした。そんなファンのみなさんのご期待に応えられず、本当に申し訳ありません。この悔しさを来年、チーム一丸となって、優勝目指して頑張ります」

佐々岡監督は最終戦セレモニーでまず医療従事者に感謝の言葉を口にし、素直にファンにわびた。試合は今季の戦いを象徴するようだった。1点差に迫りながら、追いつけない。今季13度目の1点差負けで、佐々岡広島1年目が終わった。

リーグワースト2位の防御率だった投手陣の乱調がシーズン序盤の低迷の大きな要因となり、リーグ2位のチーム打率は得点力につながらなかった。最終戦も9回に2安打で2得点するも、8回まで3安打。進塁打も打てず、チャンスらしいチャンスもつくれなかった。

投手陣の立て直しとともに、機動力野球の復活も王者奪還の鍵となる。河田氏がいた17年までの2年間はチーム盗塁数はともにリーグトップ。ヤクルトへ移籍した17年以降は徐々にチーム盗塁数が減り、今季64盗塁はリーグ4位。広島のチーム盗塁数が“Bクラス”入りするのは5年ぶりだ。打ち勝つ派手さのない得点にこそ、広島野球の神髄がある。監督1年目は「初めての経験なので、コーチ陣としっかり話し合って、助け合ってやってきた」と一体感を大事にする指揮官に、来季は同学年の頼もしい参謀が加わる。【前原淳】