日刊スポーツ評論家陣がリレー形式で阪神に提言する「V奪回へのシナリオ」の第9回は、阪急黄金時代の284勝サブマリンで元中日監督の山田久志氏(72)です。V争い参戦には先発陣を強化すべく、高橋の体力アップと藤浪の技量アップが不可欠と指摘。2人が左右の両輪となってフル回転することが重要と提言しました。
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阪神はFA、外国人など補強に取り組んでいるほうだ。それが15シーズンも優勝から遠ざかっているのだから不思議だ。チーム作りに根本的な何かが欠けているのだろう。
健闘したとはいえ巨人とは、野球の質に力量差があったようにみえた。これを縮めるのは容易ではないとみている。
対巨人は守り負けだった。ディフェンス力の差は大きい。また、チーム盗塁数は2年連続リーグトップだが、レギュラーで近本以外に走ることのできる選手が少ない。
そして気になっているのは高橋だ。もう一段階上がってくると思っていたが好不調の波が目立った。潜在能力が高いのに勝ち星が伸びない。
前々からいってるように、ちょっとしたチェンジは必要だが、現時点でフォームを変えるとか、新たに球種を覚えることの必要性は感じない。
あえて一点いうとしたら体力不足だろう。球質のレベルを上げ、先発ローテーションを守りきるには、もっとスタミナをつけないといけない。
またその対極にあるのが藤浪だ。今シーズンも期待外れに終わったが、こちらは体力面における心配はいらないから、さらに投げる技術を磨かないといけない。
後半は楽なところで結果をだしたが、これを真に受けることができないのはわかっているはずだ。自分に不必要なものを省いていく作業もしていくべきだろう。
ピッチャーは自分の感覚だからね。調子が良いときは1軍で通用してるんだから、このオフから来春キャンプ、オープン戦でこれだというものをつかむことだ。
高橋と藤浪はやることがはっきりしている。それができないなら、指導している監督、コーチがそこに引っ張り上げないといけない。
西勇が3、4番手で、この2人が左右の両輪になったとき、相手チームに投手力でプレッシャーを与えることができる。【取材・構成=寺尾博和編集委員】