巨人育成3年目の田中優大投手(21)と同2年目の平井快青投手(20)が10日、ボクシングの元世界王者内山高志氏(41)が手掛けるジム「KOD LAB」で練習を行った。王者とのスパーリングに「潜入」し、2人が見せた殺気に成長の鍵を見た。

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生きるか死ぬかの世界。闘争本能をむき出しにしたリング上の2分間で、課題だった「精神的な弱さ」は見当たらなかった。「やってやろうと思ってました」と田中優。ボディーに食らった一撃に「あんなの初めて。見えなかった」と本物の殺気を体感してもなお、目はぎらついていた。

田中優は今季2軍でキャリアハイの12試合に登板したが、来季は4年目。平井は今季2軍で2試合のみ。育成選手としては崖っぷちだ。2人は四球を与えると動揺したり、リリース後の手の形が「パー」になるほど置きに行ったりと、身体能力を持て余してきた。勝負の来季を前に、弱い自分から脱皮する。自らを見つめ直す、機会を得た。

平井が「肩が全く上がらない。キツすぎました…」と表現するほどのハードトレ。それでも2人は同ジムに週1で通うことを決心した。平井は「まだビフォーアフターのビフォーです」という。日本歴代3位の11回連続防衛に成功した「強い」男に弟子入りし、全く新しい自分に生まれ変わる。【小早川宗一郎】

○…ミット打ちとスパーリングを行った内山氏は2人のパンチを絶賛した。「右ストレートはさすがの威力。伸びのある“ストレート”でした。今日のような練習をしていればメンタルは勝手に鍛えられると思う」。世界王者が教える右“ストレート”で打者をねじ伏せる。

○…今回の交流は来季から巡回投手コーチ兼トレーニング統括となる会田コーチが、内山氏の中学の後輩だった縁で実現した。2人を選んだ理由を「身体能力は抜群だけど、精神面がまだまだ弱い」と説明。本能的な世界での精神面の成長を期待した。