ヤクルト高橋奎二投手(23)は、150キロを超える直球を武器とする速球派左腕として大きな期待を受けている。昨季はコンディション不良もあり1勝に終わったが、プロ初勝利は3年目の18年に挙げた。レイズ筒香(当時DeNA)から3打席連続三振を奪い、一躍注目を浴びた試合を振り返ります。

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ヤクルトが2位を確定させ、クライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージの本拠地開催を決めた。3年目の高橋奎二投手が5回1失点で、3試合目でプロ初勝利を挙げた。DeNA筒香から3打席連続三振を奪った投げっぷりの良さに小川監督もCSの先発候補入りを明言。昨季96敗からの大逆襲を狙うヤクルトの秘密兵器となる。

侍の主砲に高橋が真っ向勝負を挑んだ。1回1死一、三塁。目の前で筒香が威風堂々とバットを構えていた。ひるんでもおかしくない場面。自分を信じた。「持ち味は腕を振ること」。初球スライダーの後は全て直球。カウント1-2からの4球目、148キロで空振り三振。ロペスのバットも空を切らせ、3者連続三振で絶体絶命のピンチを切り抜けた。筒香からは3打席連続で三振を奪い「一番力を使った。挑戦者の気持ちでいったのがいい結果につながった」とほほ笑んだ。

京都・龍谷大平安時代の異名は「西のライアン」。右足を高々と上げる投球フォームで甲子園の優勝投手になった。だがプロ入り後、腰痛などの故障に苦しんだ。昨年10月。故障防止もあり「ライアン投法」封印を決断。自分の代名詞を捨てるのは勇気がいった。「もし変えてフォームがばらばらになったら…」と恐怖心も募った。

だが、後輩や同期が1軍で活躍する姿を指をくわえて見る日々は、もううんざりだった。「西のライアンと呼ばれなくなるけど、高橋奎二としてはここからです」。高津2軍監督や2軍投手コーチらと習得に励んだ投球フォームを信じ、勇敢に強打者に立ち向かった。その先にプロ初勝利と2位確定が待っていた。

CSファーストステージで対戦の可能性があるDeNAの主軸を堂々と封じ、残り5試合のため今日にも登録抹消となる。小川監督からは「球の勢いが素晴らしかった。もちろん(CSの先発)候補の1人になりますね」と認められたが、高橋は「もっと勝てる投手になりたい」と先を見据えた。昨季96敗からの2年越しの下克上を狙うヤクルトに頼もしい新星が現れた。

DeNAラミレス監督(ヤクルト高橋について)「初めての対戦で、予測と違った感じで攻められた。これも起こりうること」

(18年10月3日付紙面より)