阪神が今秋ドラフト1位候補として、最速151キロ右腕の高知・森木大智(2年)をリストアップしていることが5日、分かった。高知中3年時に軟式史上最速とされる150キロを計測した剛腕を、1年生から徹底マーク中だ。阪神は森木の他に、市和歌山の最速152キロ右腕・小園健太投手(2年)、大阪桐蔭の154キロ右腕・関戸康介投手(2年)もリストアップ。今年のドラフト戦略は、昨年の即戦力中心から一転、高校生が軸になりそうだ。

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将来の球界を背負うであろう右腕に、虎も熱視線を注いでいる。森木は硬式よりも球速が出にくい軟式で高知中3年時に150キロを計測。「スーパー中学生」と称された。高知進学後も順調に成長を続け、現在は184センチの長身から最速151キロを投げ込む。阪神球団関係者は「モノが違う。(21年の)1位候補の1人」と素材を絶賛している。

阪神だけでなく、12球団のスカウトがホレ込むのは、まだ発展途上で無限の伸びしろを感じているからだ。この冬は最速155キロを目指し、下半身強化を中心に取り組んでいる。道しるべは、同じ高知県出身で森木も憧れる藤川球児氏だ。98年ドラフト1位で阪神に指名された当時の球速は143キロだったが、156キロまで伸ばした。阪神は森木についてもこの夏、プロ入り後も直球の威力を増し、スケールの大きな投手になると見込んでいる。

1年夏は高知大会決勝で敗退。昨秋の四国大会も初戦の高松商(香川)に敗れ、今春のセンバツは厳しい状況だ。だが最後の夏、初めて甲子園のマウンドに立てば、全国にその剛腕が一気に知れ渡る。森木は今オフ、日刊スポーツの取材に応じ「高卒ドラ1で、プロに行きたい思いはあります」と意気込みを明かした。そして縦じまのユニホームを着ることになれば、火の玉ストレートを武器にする「球児2世」を地で行く可能性は十分ある。

中学生だった19年3月の高知・春野球場。創志学園(岡山)の練習試合を見学した森木は、2学年上でエースだった現阪神の西純矢投手(19)と出会い、アドバイスをもらった縁がある。阪神には高校の先輩でドラフト4位の栄枝裕貴捕手(22=立命大)もいる。

阪神は昨年のドラフトで、即戦力投手を4人補強した。だが今年は森木らを軸に、将来のエース候補の高校生を狙う。

◆森木大智(もりき・だいち)2003年(平15)4月17日、高知県土佐市生まれ。蓮池小3年時に高岡第二イーグルスで軟式野球を始め、内野手や捕手、投手を経験。高知中で1年時から投手。3年時に春夏の全国大会を制覇。高知では1年春からベンチ入りし、同年夏からエース番号1。50メートル走6秒3、遠投115メートル。184センチ、88キロ。右投げ右打ち。