夢は野人コンビ結成! 阪神糸井嘉男外野手(39)が沖縄・宜野座キャンプで日刊スポーツのインタビューに応じ、近大の後輩でドラフト1位の佐藤輝明内野手(21)と主軸で並び立つことを誓った。右膝痛に苦しんだ昨季の苦悩を激白。チーム最年長が復活への決意を語り、黄金ルーキーとのタッグで16年ぶりのリーグ優勝に貢献する。【聞き手=桝井聡、只松憲】

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-キャンプも中盤に入ったが、現在の状態は

糸井 去年に比べたら、やっぱり78(パーセント)くらいかなと思います。

-痛めていた右膝の状態も良くなっている

糸井 去年はずっと隠してやっていた部分があって、1年間あかんかった(※1)。ゆっくりする立場ではないんですけど、今年のオフは時間をもらって、やっとここまできた。

-昨季は膝の状態がかなり悪かった

糸井 そうですね。歩くのもつらかった。水を抜いても次の日にはたまる状態が1年間。病院にも行けなかったっていうのもあります。

-つらい日々だった

糸井 葛藤みたいなのは自分のなかでありました。年齢的な部分もありますし、いろいろ考えることもあった。

-そういった日々を経て、全体練習に加わっていけているのはプラス

糸井 気持ちの面では戦ってます。それ(膝の負傷)を完全に払拭(ふっしょく)しないと戦えないなっていうことも感じた。相手と勝負できなかった。バッティングでも足を着いたら痛かった時もあった。しっかり体を戻していかないといけない。

-藤川、福留らが去って、今年はチーム最年長

糸井 野手だったら下が10個くらい(年齢が)違う。キャンプの最初は若い子がバッティングのことを聞いてきてくれたりしたこともありますし、そういう若い子の手助けっていう部分。いい選手、魅力ある選手も多いですし、そういう気持ちもありますね。若い子の成長、これから強くなっていくタイガースを手助けするじゃないですけど。

-近大の後輩でドラフト1位の佐藤輝明にもよくアドバイスをしている

糸井 後輩ですし、同じド田舎の山の中(奈良・生駒市)で生活していた仲ですしね。すごく魅力のあるバッティングもしてますし、楽しみですね。

-佐藤輝とソフトバンク柳田は似ているとよく言われる

糸井 とらえた打球は(柳田)に匹敵するんちゃいます?初めてギータと自主トレやった時も(※2)衝撃というか「そこにその打球飛ばすか?」みたいなことがあって。スイング1つ1つを見ても、同じような衝撃はありましたね。

-見ていて面白い選手

糸井 もちろんもちろん。

-近大の先輩、後輩で打線を引っ張れたら最高

糸井 それは僕は夢ですね。僕自身もしっかりしないといけないです。

-佐藤輝と外野の両翼を守ることもある

糸井 そうなったら僕もうれしいです。そういうところを目指してちゃんとチャレンジしていかないといけない。

-スタメン争いのなか、ベテランの意地もある

糸井 それはもちろんあります。それがなくなったらやってる意味がない。でもどう考えても先は短いので、1年1年そういう意地を出していけたらなと思います。

-自身は今季どんなシーズンにしたい

糸井 やっぱり優勝。僕も小さいころからタイガースの試合を見てましたし、こうやってご縁(16年オフにオリックスからFA移籍)もあって入れた。在籍している間にビールかけをしたいですね。そのなかで戦力になりたいし、それが一番やりたいです。

-日本ハム時代に先輩だった新庄氏が12日に阪神キャンプを訪問した

糸井 ドキドキしてました。同期入団ですよ。03年に僕はドラフト入団で、その時、新庄さんはアメリカから帰ってこられた。「これからはパ・リーグです!」って言ってましたね(笑い)

-思い出がある

糸井 僕はそれこそ2軍でピッチャーをやってて(※3)、くすぶってたから全然1軍にも行ってない。納会だったり、1軍のキャンプでしか接点がなかった。シーズンを通して一緒に戦ったことはないです。

-スターであることは間違いない

糸井 もちろん。日ハムの球場をあれだけ満員にするっていうのはすごいことだと思うし、ましてや北海道移転(※4)っていうタイミングだった。あそこ(北海道)でやりたいなと思いました。

-新庄氏は昨年、12球団合同トライアウトに参加していた

糸井 ああいうことを考えても行動にできないと思うんですよ。それを行動されて、チャレンジしてるっていうことは誰でもできるようなことじゃない。ああいうことができるから、ファンからも人気がある。ファンの方も大切にされますし、そういうところも勉強というか、刺激になりましたね。プロ野球はやっぱりファンに支えられているなと思いました。

(※1)4年契約最終年だった昨季は右膝痛の影響で86試合の出場に止まった。打率2割6分8厘、2本塁打、28打点はいずれも移籍後ワースト。契約更改では球団史上最大となる推定年俸2億1500万円の減額を受け入れ、単年契約を結んだ。

(※2)柳田は糸井のことを「パーフェクトマン」と呼び、オリックス在籍時に、弟子入りを志願。14~19年オフに米グアムで合同自主トレを行ってきた。オリックス吉田正らも参加していたことがあり、「超人トレ」とも呼ばれていた。

(※3)近大から03年ドラフトの自由獲得枠で投手として日本ハムに入団。06年に野手へ転向し、1軍初安打は07年9月10日ロッテ戦。

(※4)日本ハムは04年から本拠地を東京から北海道へ移転。ホーム球場も東京ドームから札幌ドームへ変わった。

※写真撮影時のみマスクを外しています。