使命感を胸に、日の丸を背負う。大学軟式野球日本代表に東北地区から4選手と女性主務が初選出された(いずれも3年)。例年なら海外遠征で現地の日本人学校との交流、野球教室を行うが、今年はコロナ禍の影響で中止に。代わって18日から静岡県内で始動し、社会人チームとの交流試合、小学生を対象とした野球教室など、4日間の活動を予定する。軟式野球の普及を目的に活動する。

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三塁手と捕手を兼任する東北学院大(宮城)の笹口大輝(3年=仙台)は率直な喜びを口にした。「(日本代表に)選ばれてうれしい。責任感のあるプレーをしたい」と決意をにじませた。持ち味は勝負強い打撃と堅守。日本代表のユニホームに袖を通し、存分に発揮する使命感に燃える。

高校時代は「4番捕手」で主将も務めた。今秋ドラフト候補で筑波大の最速151キロ左腕・佐藤隼輔(3年)は同学年のエースで、バッテリーを組んだ。「(佐藤は)すごすぎた。構えたところにしか投げ込んでこない」と当時を振り返る。最後の夏は宮城大会8強で終わったが、完全燃焼し「満足してしまった。硬式人生は(佐藤)隼輔で終わりたかった」と、硬式野球からは「引退」した。

大学では小学生以来の軟式球に苦労。「打つ感覚が全然違った」。より芯で捉えないと飛ばない特性に、「スイングを一から見直した」と対応。18~20年には東北地区選抜に選出されるなど、好打者へ成長した。「隼輔(佐藤)のボールを見てきたから、どんな投手と対戦しても『大丈夫だ』って思える」と、自信を持って打席に立つ。

例年なら大学3年の秋で引退するが、その考えは一切なかった。「昨年はコロナで満足な活動ができなかった」と不完全燃焼に終わり、現役続行を決断。卒業後は日本史の高校教員を目指しており、教育実習、採用試験、卒業論文と今年は“勝負の年”と位置づける。「最後まで野球と勉強を両立することに意味がある」。学生野球のラストイヤーに文武両道を貫き、有終の美を飾る。【佐藤究】