今年初の実戦で投手の本能が顔を出した。昨季新人王の広島森下暢仁投手(23)が阪神との練習試合(宜野座)に先発し、3回を無失点にまとめた。

スイッチが入ったのは3回に招いた2死二、三塁だ。4番陽川への2球目はこの日最速の154キロ。外角低めにズドンと決める、この試合のベストピッチで追い込んだ。1球ボール球を挟み、最後は119キロカーブで構えを崩して見逃し三振。1、2回も得点圏に走者を背負い、3回は味方のミスから招いたピンチだった。昨季の新人王を経て、先発の柱と期待される右腕の真骨頂をのぞかせた。

1回は注目のドラフト1位佐藤輝に甘く入った球を右中間に運ばれたが、続く陽川を空振り三振。2回は1死から高山に安打を許したが、後続を断った。「やっぱり点を取られたくない。ただ、それだけです。前に打球を飛ばされないように意識しました」。昨季、得点圏での被打率は2割2分8厘。森下を上回る成績はソフトバンク千賀やオリックス山本ら球界を代表する投手ばかり。好投手の証しともいえる勝負勘が、初実戦から発揮された。

変化球の精度をやや欠きながらも、今キャンプで球質向上に取り組む直球を軸にして無失点スタートを切った。佐々岡監督は「直球にしても問題ないと思うし、順調に来ている。さすがというところを見せてくれている」と認める。開幕投手候補にも挙がる2年目右腕。「自分の持っている全てのものを毎回出していきたい」と上々のスタートにも満足した様子はなかった。【前原淳】

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