広島河田雄祐新ヘッドコーチ(53)が、1日に打ち上げた春季沖縄キャンプで機動力野球浸透をテーマに奔走した。1日の歩数は1万歩超。「千里の道も一歩から」というが、真の機動力野球復活には1万歩でも十分ではない。佐々岡真司監督(53)が求める理想像には、まだまだ発展途上にある。チームが再始動する3日から開幕までの期間で、より精度を高めていく。

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機動力復活への道のりは長い。1日に約1万歩でも、たどり着けるものではないようだ。1日までの沖縄キャンプで、河田新ヘッドコーチが1日に歩いた歩数の最多は「1万183歩」だったという。キャンプ初日の8000歩台から、その歩数は日に日に増した。

早出練習から選手、コーチ陣と積極的にコミュニケーションを取り、各ポジションを動き回る。キャンプ2日目から朝のベースランニングの技術的指導が入るなど、細かな動きも徹底。盛り上げ役だけでなく、叱り役も担った。21年初実となった2月16日のロッテとの練習試合では、試合後に二塁走者のスタートを切るタイミングを指摘。常に緊張感を持たせる工夫を重ねてきた。同20日のヤクルト戦では主力選手も果敢に挑戦。復調気配の主力が、河田ヘッドの目指す機動力野球浸透を促す役割も担った。

河田ヘッドは佐々岡監督と連携を取ってきた。「何より、監督が目指す野球を理解しないといけない」。指揮官の考えを表現できるように手助けする立場。実戦や実戦形式では常に隣で意見交換しながら選手に指示を与えた。佐々岡監督は「思い切った打撃、走塁の意識は継続してほしい。失敗もあるだろうけど、少なくしていかないといけない。開幕に向けて(オープン戦)12試合の中でキャンプの続きのつもりでやりたい」と継続の重要性を感じている。

同28日の日本ハム戦では次の塁を狙った走塁、進塁打が得点がつながった。キャンプ最後の実戦での好内容にも、河田ヘッドは「意識を持ってやれば、当然できていないといけない範囲だと思う。逆に(細かな野球に)100点なんてないから」と引き締める。佐々岡、河田体制が求める理想はまだ遠い。完成形を目指し、開幕に向けて歩み始める。【前原淳】