はじめまして、巨人の広岡です! ヤクルトから1日にトレードで加入した広岡大志内野手(23)が移籍後4日目で初アーチを放った。古巣ヤクルトとのオープン戦に「9番遊撃」で初先発。6回の第3打席、守護神石山から左翼席へ、あらためての名刺代わりの1発を決めた。長打力が自慢で将来性を期待される大型内野手。新天地で潜在能力の高さをアピールした。

長距離打者ならではの放物線だった。6回。広岡の視線の先には、ヤクルトの守護神石山。4日前まで仲間としてキャンプで汗を流したが、今では打ち砕くべき敵に変わった。カウント1-1からの144キロ直球をフルスイングし、無人の左中間席へ運んだ。移籍4日目で初先発初安打初アーチ。一塁側ベンチの最前列で、原監督を先頭に新しい仲間の笑顔が並んだ。「昨日は2打席で2三振したので絶対に打ったろうと気合が入ってました」と満面の笑みで駆け寄った。

3日前、人生が一変した。田口との電撃トレードで巨人入り。戸惑いと緊張の中、3日には古巣のヤクルト戦に途中出場した。打席から見るヤクルトのユニホームに違和感をぬぐいきれず、2打席で2三振。それでも、一夜明けたこの日のスタメンには自分の名前があった。試合前練習では、原監督から打撃で左足を上げる前に1ステップ入れるよう直接指導を受けた。期待を、痛いほど感じていた。

だからこそ、原点でもある「高校球児」時代に時を戻した。「高3の夏、1点差で負けている9回裏、先頭バッターの気持ちで打席に入っています」。19試合しか先発チャンスがなかった昨季、常に「これが最後」と言い聞かせていた。選手層の厚い巨人では、そうそうチャンスは巡ってこない。「何としても結果を出さないと残れないので、本当に結果が全てだと思って今日は入った」。“巨人広岡”として生きていく覚悟が古巣への違和感を消し去り、最高の結果を生んだ。

サイズのあったユニホームが届かないほどの短期間で、開幕1軍へのアピールに成功した。その開幕戦の相手は、三浦監督が率いるDeNA。16年9月29日、引退試合だった三浦“投手”からプロ初打席初本塁打を放っている。巨人に移籍しなければ、新監督の初陣で“再会”する機会はなかった。「まだまだチームになじめていないと思うので積極的にやっていきたい」。新たな運命を、巨人で切り開いていく。【浜本卓也】

巨人原監督(広岡について)「いいものが出たと思います。あとは確実性も含めてね。どれだけ勝負ができるかというところでしょう。(二塁手争いにも)加わったというところで見てもらっていいと思います」

◆広岡大志(ひろおか・たいし)1997年(平9)4月9日、大阪府生まれ。智弁学園では2年春夏に甲子園出場。15年ドラフト2位でヤクルト入団。16年9月29日DeNA戦でプロ初出場。同試合で三浦大輔(現DeNA監督)から初打席初本塁打を記録。19年に自身初の2桁本塁打。183センチ、81キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1600万円。