東海大静岡翔洋中(推薦)が、劇的な幕切れで大会3連覇を果たした。1点を追う最終7回2死二塁で、2番中島健太外野手(2年)が、逆転サヨナラとなる右越えのランニング2ラン。昨秋の県新人大会決勝のリベンジに燃える伊東対島中(東部推薦)を返り討ちにした。昨年はコロナ禍で中止となり、最近4年間で3度、通算9度目の優勝を飾った。

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東海大静岡翔洋中の中島が、主役になった。

一打同点の場面で「自分が打つしかない」と、内角直球に強振。二塁走者を本塁で刺すために、外野手が前に出ていたことに気づいていたため「打った瞬間に越えると思った」。ダイヤモンド上でスピードを緩めず、本塁へ突進。優勝を決める生還後、駆け寄る仲間の姿を見て「すごくうれしかった」と笑みをこぼした。

打席へ入る前、緊張から「テンパってました」。ベンチの雰囲気も暗く「諦めムードでした」と振り返る。だが、2死から1番水口啓太内野手(2年)が中前打で出塁。チームも息を吹き返し、その流れに中島も乗った。水口がすかさず二盗したことも追い風になったといい、「走者一塁じゃ、長打でないと点が取れない。単打でいいと気楽になれた」と明かした。

今大会は、富士宮一中と対した1回戦(4○3)で無安打。チームも苦戦した。その後、踏み込む直前にバットのヘッドが下がる癖を修正するため、父大輔さんに投げてもらって、バットを振り込んだ。成果を発揮し、2回戦以降は復調。この日も大仕事を果たし、チームを頂点に導いた。

今後の目標は、夏の全国大会出場だ。「このチームは、変化球主体の投手への対応が課題。全国へいくためにも、みんなで対策していきたい」と、決意を語った。【河合萌彦】

○…伊東対島中は、あと1アウトが遠く、初優勝を逃した。先発の山口真弥投手(2年)が、6回0/3を3安打1失点と好投。序盤から主導権を握り続けたが、最後にひっくり返された。それでも、永田守人監督(34)は「子どもたちには100点をあげたい。練習でやってきたことを出し尽くしてくれた」とナインをねぎらった。その上で「もっと上積みをしなきゃいけないな」と、前を向いた。