阪神のドラフト1位、佐藤輝明内野手(21=近大)が本拠地初アーチとなるオープン戦2号を放った。5回2死二塁、広島スコットのツーシームを捉えた。打球はグングンと伸び、最深部の左中間スタンドへ。「逆方向ですけど、いい当たりが打てて、すごく良かったです。阪神ファンの皆さんの前で打った1本、特別なものになるんじゃないですか」。甲子園のある兵庫・西宮市で育ったスラッガーが待望の1発を喜んだ。

三塁打が出ればサイクル安打の快挙だったが、3安打2打点の活躍でお役御免。途中交代でお預けとなった。矢野監督は「打った瞬間、行ったと思ったし、持ち味だと思う。いいホームランだったね。別にビックリもしないし。評価はもちろんしているけど、テル自身が目指しているのはもっと上のところにある。ある意味、普通かなと思う」と冷静に受け止めた。

東日本大震災から10年。3・11は佐藤輝にとっても、特別な日だ。宮城・村田町に住む祖父母は大きな被害はなかったが、激しい揺れを経験。「空港の周りに何もなかった。すごい被害なんだなと思った」と祖父母を訪問する際に被災地を目の当たりにした。当時小学生だった少年はプロ野球選手になった。「まだ苦しんでいる方もいると思うので、そういう方に勇気をちょっとでも感じてもらえたかな」と思いを込めた。

この日は三塁を守ったが、5回にはボテボテの打球にタイミングが合わず、後逸で、プロ初失策を記録。「どこを任されてもいいように、しっかり準備したい」。試合後には居残りで外野守備を練習。地に足をつけて、開幕に向かう。【林亮佑】

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