新潟は社会人のジェイファム(神奈川)に9-1で勝ち、今季初の実戦で快勝スタートを切った。投手8人をつぎ込んでの勝利で、高卒ルーキー佐藤雄飛投手(18=中越)がマウンドで躍動した。4回から3番手で登板し、1イニングをあっさり打者3人で抑えた。

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冷静だった。新潟に入団しての初実戦だったが、佐藤はマウンドで顔色ひとつ変えなかった。「マウンドに上がる前は緊張したけれど『もう投げるしかない』と楽しんだ」。2-1の4回に3番手で登板し任されたのは1イニング。左飛、見逃し三振、二ゴロとわずか10球で役目を果たした。

「相手は社会人だけど高校よりレベルは上。そこで通用すると実感できた」。切れのある直球で押し、10球のうち変化球はチェンジアップ2球だけ。「8割の力で投げた」と言いながらも、最速131キロを記録した。昨夏の自己最速137キロには及ばなかったものの「今シーズン中に145キロを出したい」と言った。

橋上秀樹監督(55)がつぎ込んだ投手は8人。高卒ルーキーは佐藤と高橋駿(18=東京学館新潟)の2人だったが、指揮官は10代の投手への期待感を隠さなかった。「2人は堂々としていた。練習では頼りなく見えるけれど、あの投げっぷりはうれしい誤算」とたたえた。

佐藤はコロナ禍で甲子園が中止になった昨夏の県大会優勝の中越メンバー。左腕の佐藤は、右腕の佐藤旦有夢(あゆむ)と両輪になって、背番号11ながら4試合16イニングを投げ無失点と奮闘した。佐藤旦はJR東日本東北を進路先に選び、社会人からNPB入りを目指すが、佐藤は独立プロリーグのBCリーグからNPBを狙う。「(佐藤)旦有夢は3年後と言っていたので自分は先に行って待っていたい」。そう話した顔つきもポーカーフェースだった。【涌井幹雄】

◆佐藤雄飛(さとう・ゆうひ)2002年(平14)8月4日生まれ、長岡市出身。堤岡中-中越卒。黒条小3年から野球を始める。堤岡中から進学した中越高では2年秋からベンチ入り。左投げ左打ち。176センチ、74キロ。背番号18。