広島新守護神のドラフト1位栗林良吏投手(24)が、プロ初登板で初セーブをゲットした。開幕2戦目の本拠地中日戦で3点リードの最終回に登板。愛知で生まれ育ち、幼少からファンだった中日を相手に、最速150キロ直球とフォークを軸に3人で斬り、チームに今季1勝目をもたらした。球団では03年永川(現1軍投手コーチ)以来、18年ぶりの初登板初セーブ。広島にニューヒーローの誕生だ。

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勝利の瞬間、栗林はマウンド上で小さく跳びはね、右拳でガッツポーズを決めた。捕手の坂倉からウイニングボールを受け取ると、ナインから祝福され、笑みがこぼれた。新守護神として、緊張のプロデビュー戦で会心の3人斬り。初セーブを記録し、チームの今季初勝利に大きく貢献した。初のお立ち台で右腕は「自分ではなくてチームのみなさんのおかげで取れたセーブ。これからも失敗しないようにやっていきたい」と力強く自己紹介した。

クローザーの役割を完璧に果たした。先頭の京田は低めのフォークで二ゴロ。続くトヨタ自動車出身の先輩、木下拓は1球で投ゴロに料理し、最後は根尾を伝家の宝刀フォークで空振り三振に斬った。「これからはどんどん厳しい場面が来ると思う。今度は自分がチームを救える投球ができれば」と引き締めた。

活躍する姿を届けたい人がいる。父秀樹さん(50)は栗林が大学時代に体調を崩し、現在も治療を続けている。秀樹さんは「見られる時に見ておかないと」と、息子の勇姿を目に焼き付けるべく、遠征地の試合にも応援に駆けつけていたという。栗林は「本当にありがたかった。たくさん迷惑をかけてきたので、早く楽にさせてあげたい。プロに入って恩返しがしたい」。18年のドラフト指名漏れからはい上がり、3年越しで悲願のプロ入りを遂げた。

今年1月にはマッサージチェアと電気治療器を父に贈った。秀樹さんは「面と向かって感謝の言葉を言われたことないんですけど、健康のことを気遣ってくれてうれしかったですね」。この日は現地で両親と沙耶夫人(24)ら家族が見守る中、最高の形でプロの第1歩を踏み出した。ここまで育ててもらった感謝を胸に、活躍で恩を返していく。

くしくも現役時代に同じ背番号20を背負った永川投手コーチと同様に、開幕2戦目での初登板初セーブとなった。「1つ記録に並べたのはすごくうれしい」と喜び、「ここからが大事。シーズンを通して抑えのポジションを守るのが今の自分の目標です」と言い切った。鯉の新クローザーとして、9回のマウンドに仁王立ちする。【古財稜明】

◆栗林良吏(くりばやし・りょうじ)1996年(平8)7月9日、愛知県生まれ。愛知黎明では2年秋まで内野手。最高成績は県大会準Vで甲子園出場なし。名城大では1年春にリーグ戦デビュー。3年春の中京大戦でノーヒットノーランを達成。3年時に大学日本代表に選出され、日米大学野球、台北ユニバーシアードに出場。愛知大学リーグ通算32勝15敗。19年にトヨタ自動車入り。178センチ、83キロ。右投げ右打ち。

▼ルーキー栗林が初登板初セーブ。初登板初セーブは昨年の漆原(オリックス)がいるが、新人では03年永川(広島)以来18年ぶり5人目となった。開幕2戦目までに記録したのは、82年山沖(阪急=開幕戦)93年金田(オリックス)03年永川に次いで4人目。

▽栗林の父秀樹さん(本拠地一塁側スタンドで観戦。プロ初セーブを見届け)「ひと安心ですね。周りにいた広島ファンの方も自分のことのように喜んでくれたので、うれしかったですね。これからもみんなに喜ばれる投手になってほしいです」

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▽広島佐々岡監督(栗林について) 信じて送り込んでいる。とにかく思い切ってやってくれればいいというところで、最高のスタートが切れたと思う。これを自信にしてどんどん自分の投球をしてほしい。

▽広島永川1軍投手コーチ(現役時代に背番号20を背負い、自身が新人の03年に記録した初登板初セーブ以来の快挙を挙げた栗林について) 投手としての完成度は全然、僕より上ですから。もっともっと頑張ってくれると思う。

▽広島森浦(プロ初登板で3四死球も無失点でプロ初ホールド) 四球を出しても次の打者、次の打者と集中して勝負できたので、何とかゼロになったのかなと思う。次からは内容もしっかり求めていきたい。

▽広島田中広(1回に1号先頭打者本塁打) 昨日はどちらかというと、(球を)見て見てで、手数が少なかった。今日は手数を出していこうと、初球から積極的に行きました。

▽広島塹江(8回の1イニングを無失点で2戦連続ホールド) 投げ切れていない球はまだありますけど、気持ち的にはしっかりと攻めて入ることはできたかなと思います。チャンスをもらった時に、結果で応えられるような意識と準備をしていかないといけない。