まさに天国と地獄…。西武呉念庭内野手(27)が5打点を挙げ、チームを引き分けを挟んでの4連勝に導いた。山川と栗山が不在の打線で、得点圏打率6割6分7厘と勝負強さを発揮し、3安打すべてに打点がつく活躍。1軍昇格から打率5割、8打点とラッキーボーイに名乗り出た。一方で外崎修汰内野手(28)が死球を受け、福岡市内の病院で「左腓骨(ひこつ)骨折」との診断で全治数カ月の見込み。首位キープも、相次ぐ主力の離脱を強いられた。

   ◇   ◇   ◇

得点圏で、無類の強さを発揮する。呉念庭は神がかっていた。5回1死一塁で迎えた第3打席。3球目に走者・山野辺が盗塁を決め得点圏に進んだ。カウント1-2からの4球目、甘く入った直球を中前へはじき返した。初回の2点適時打に続く打点。さらに7回には1死二、三塁から、この日3本目の適時打。5打点をマークし、「自分でもちょっと不思議な感じで試合をしました」と驚いた。

前日に故郷・台湾の悲しいニュースを目にした。列車が脱線し50人以上が亡くなる悲劇だった。「ニュースを見て、何ができるかと考えたら、いいニュースを届けたいと思って。今日絶対活躍したいと思って臨みました」。1軍昇格後、日本ハム戦(3月31日)でプロ1号を放つと、台湾でも大きく取り上げられニュースになった。そこから3試合で打率5割5分6厘、得点圏打率6割6分7厘、8打点と躍動を続けている。

昨オフに一時帰郷する際は再入国日を逆算し、自分で調べて手続きを進めた。春季キャンプ2日前に隔離期間を終え、B班(2軍)キャンプでは率を上げるためフォーム改造に着手。バットを担ぐスタイルにし「変化球も真っすぐもすべてタイミングが合っている」と結果に結びつけている。

父・呉復連氏は元台湾代表でバルセロナ五輪で銀メダルを獲得。呉念庭も同代表経験がある。東京五輪出場の可能性を残しており「活躍によって選ばれるチャンスが増えるんで」。故郷への思いを胸に秘めながら、奮い立たせていく。【栗田成芳】

◆呉念庭(うー・ねんてぃん)1993年6月7日、台湾・台北市生まれ。新北市立汐止国民中学から岡山・共生高へ留学。11年12月、四国IL・愛媛からドラフト指名されるも入団せず第一工大へ進学。15年ドラフト7位で西武入団。16年7月10日オリックス戦でプロ初出場。17年オフ、アジアプロ野球チャンピオンシップで台湾代表入り。178センチ、75キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸880万円。

西武担当のツイッターはこちら>

西武ニュース一覧はこちら>