阪神で通算349本塁打を放った「ミスタータイガース」こと、掛布雅之氏(65=HANSHIN LEGEND TELLER)も、ドラフト1位佐藤輝のハマスタ場外弾に驚きを隠さなかった。

10日、大阪市内で監督を務める「(仮)掛布塾オールスターズ」が初めて練習試合を行った。試合後に「僕は場外はない。僕らの時はあれだけボール飛んでたっけ? 中日のマーチンくらいじゃないか。そこからフィルダーまでないんじゃない。あんな横浜スタジアムを小さく見せたの初めてでしょ」と伝説的なアーチを最敬礼でたたえた。

怪物ルーキーのパワーを改めて評価する一方で、先輩スラッガーは助言も忘れなかった。「攻め方があれだけ(オープン戦と)変わっているから。その攻め方に対応するために、バランスが崩れるのは僕らでも経験してる」と前置きした上で、「バッティングで一番難しいのはボールの見極め。それを今すごく感じていると思うけどね」と現在の心境に寄り添った。

さらに、ストライクを打つ重要性について熱を帯びて語った。「打ちにいくのを忘れちゃだめ。それが難しい。それでまた自分を知っていくんだよね。“攻撃的な見極め”をしないと」。同じ左打ちの後輩スラッガーへ、愛情たっぷりのエール。自身も1985年にバックスクリーン3連発など数々の伝説的なアーチを描いてきた。最後には「浜風があっても入る。どこでも入るな」とつぶやき、グラウンドを後にした。【中野椋】