待ちに待った今季1号が勝利をたぐり寄せた。

阪神大山悠輔内野手(26)は初回2死一塁、広島床田の137キロ低めのツーシームをすくい上げた。体を沈め、最後は左手一本で捉える技術の詰まった先制2ランが左翼席に飛び込んだ。「しっかりうまく打つことができた。結果的に勝利打点、決勝打になっているのですごくいいことだなと思います」。今年初めてゆっくりとダイヤモンドを1周。ベンチ前で満面の笑みを見せた。

プロ5年目で最も遅い1号となった。これまでは19年の48打席目だったが、それを上回る68打席目。セ・リーグの開幕4番で最も打席を要した。昨季チーム最多28発を誇った主砲になかなか1本が出ず、矢野監督も連日、直接指導した。「手の意識がどうしても強いから」と踏み込んだ下半身に上半身を連動させてバットのヘッドを利かせるよう助言してきた。ようやく結果が出て、自分のことのように喜んだ。「モヤモヤしている中でやっと1本出た。本当にうれしそうにベースを回っている姿が印象的でしたし、これで乗っていってくれると思います」。

ルーキー佐藤輝も4回に2ランを放ち、左右の長距離砲が初めてそろい踏みした。昨秋のドラフト時に矢野監督は「右と左のチーム内での本塁打争いが楽しみやし、タイガースファンも楽しみにしてくれる部分。それが一番見てみたい」と語っていた。夢を膨らます「OSアベックアーチ」が初めて甲子園で生まれた。大山が打点を挙げた試合は、昨年から引き分けを挟んで17連勝、加えて今季チームは先制すれば13戦全勝。ともに不敗神話も継続した。今季から主将を務める大山は、お立ち台で「チーム」という言葉を繰り返した。「4番で主将」のバットがこの先も連勝街道に欠かせない。【林亮佑】

▼大山が今季68打席目で初本塁打。過去のシーズン1号までの所要打席数は

17年 9打席目(7月1日ヤクルト戦)

18年 2打席目(3月30日巨人戦)

19年 48打席目(4月11日DeNA戦)

20年 16打席目(7月4日広島戦)

プロ5年目で最遅となった。

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