東洋大の細野晴希(2年=東亜学園)が大学初勝利を完封で飾り、中大に2連勝した。

中大打線を3安打無失点に封じた。「真っすぐが狙われていたので小さく動かして芯をずらすことができた」と、この日の最速149キロの直球と、スライダー、カーブにカットとスプリットを効果的に使い、奪った三振は14。細野は「大学に入って9回を投げたことがなかったので。今日は打者を見て抜くところは抜いて、力の出し入れができた」と納得した表情を見せた。

得意のけん制も生きた。3安打に6四死球で出塁を許したが、けん制で4つのアウトを奪った。杉本泰彦監督(61)は「足を上げて、そこから走者の動きを見て投げられるらしい。僕らとは次元が違う」と分析。日ごろから、けん制はクイックのフォームと極力近づけるように練習。細野は「小学校のころからできた」と自信を持っている。9回裏には、中大・古賀悠斗捕手(4年=福岡大大濠)が四球で出塁したが、けん制を警戒し、わずか2歩分しかリードを取れなかった。古賀は「けん制でアウトになったら元も子もないので。打者を信じて」と説明。杉本監督は「古賀君のようなリードが正解です。(細野の)けん制は天性なのでしょう。他のチームの選手は、大きくリードしない方がいいです」とアドバイスした。

この1勝から、勝利を積み重ねるつもりだ。背番号34には「プロ野球史上最多400勝利投手・金田正一さんのようになって欲しい」という杉本監督の願いが込められている。試合後、金田氏のプロ通算勝利数を聞かれた細野は「え~と…600勝くらい?」とおどけて見せた。「今日は純粋にうれしかったです。チームが勝てばいい。今季は失点しないことが課題」と頼もしく話した。【保坂淑子】