あれだけ温かい拍手を浴び続けたのだ。悔しくないわけがない。阪神藤浪晋太郎投手(27)は5回無死一塁で降板を告げられると、グッと歯を食いしばった。

制球に苦しみ、4回0/3を2安打7四死球2暴投で4失点(自責3)。最後は3番オースティンへの抜けたスライダーが死球になったところでマウンドを降りた。「序盤から投球のタイミングが合わず、情けないピッチングをしてしまいました。野手の方々に申し訳ないです」。修正しきれないまま今季初黒星。言葉の端々から感情がにじみ出た。

今季はワインドアップ投法を基本としてきたが、5戦目で初めて初回からセットポジション投法を選択した。福原投手コーチは「ブルペンで投げていて、セットの方がバランスよく投げられていたので」と本人の思いを代弁。1回は2奪三振で3者凡退と上々の立ち上がりを見せた。

ただ、2回に突如フォームのバランスを崩した。先頭の4番佐野から3者連続四球を与え、内野ゴロの間に先制点を献上。3回は二塁打2本で2点目を失った後、2死三塁から3者連続四球の3個目が押し出し四球となった。今季は開幕からローテを守る一方、5戦で5四死球以上が4度。直近の課題は明白だ。

押し出し四球の直後、7206人の観客が駆けつけた甲子園に1球1球、声援代わりの拍手が鳴り響いた。降板時も優しい拍手が送られた。「今日の投球をしっかり反省して、次の登板は頑張りたい」。反省だけが残った一戦。必ず糧にする。【佐井陽介】

 

▼阪神藤浪が5回途中4失点で降板。藤浪はDeNA戦と相性がよく、通算14勝(4敗)と対戦別では最も多くの勝ち星を挙げている。13年4月14日のプロ初勝利も同カードで、15~17年にかけて8連勝したこともある。このカードでは17年5月26日以来の黒星を喫した。

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