今季初スタメンのソフトバンク上林誠知外野手(25)が、1号2ランを含む3安打4打点の活躍でチームを救った。劣勢で反撃の流れをつくり、1点を追う9回には楽天抑えの松井から価値ある同点打。引き分けに持ち込み、4カード連続負け越しを阻止した。58歳のバースデーを迎えた工藤公康監督は、就任以来誕生日ゲーム5勝1分けで、不敗神話も継続した。

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上林はファームですっかり日焼けした顔に、気迫の表情を浮かべ、ほえた。1点を追う9回2死一、二塁。楽天の守護神松井の4球目、外角スライダーを巧みに拾った。鮮やかに左前へはじき返しての同点打。「今日は自分にとって開幕戦だったので。なんとか印象づけられるようにと思って、集中していました」。土壇場に追い込まれた状況での一打で引き分けに持ち込み、4カード連続負け越しをすんでのところで阻止した。

開幕2軍スタートだった上林は3日に今季初昇格。この日が今季初のスタメン出場だった。工藤監督は「則本君との相性というかね、ヘッドのご意見がありまして。ぼくも早めに使いたかったというのもあったので」。上林は1番に入り、4点をリードされていた3回に反撃のノロシをあげる左中間フェンス直撃の適時二塁打。さらに5回には今季1号2ラン。そして9回に起死回生のタイムリーを決めた。

ヒーローの「ハッピーバースデー♪」という歌声は聞けなかったが、指揮官にとって58歳の誕生日は気持ちの晴れる引き分けになった。「こどもの日」に3安打4打点と大活躍した“孝行息子”に工藤監督は「すごいですね。初めての試合でこうやって。(9回は)絶体絶命だっただけにね、よく打ってくれたと思いますよ」。就任してからの、バースデー不敗神話もつながった。「誕生日うんぬんはいいんですけど、まあね。よく引き分けにしてくれたなと思います」と目尻を下げ、幸せそうに笑った。【山本大地】

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