ヤクルト青木宣親外野手(39)が、史上4人目の日米通算2500安打を達成した。日本で通算1726安打、大リーグで通算774安打をマークしている。

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青木の打撃にかける姿勢をひと言で表すとすれば、「求道」以外にない。宮崎・日向高時代は投手で、全国的にも無名。早大進学当時も、和田(ソフトバンク)、鳥谷(ロッテ)ら有力選手ほど目立つ存在ではなかった。ただ、スイング量はハンパではない。暇さえあればバットを振り、ふと思い付けば真夜中でも振ることをいとわない。2500本は、決して天性ではなく、常に安打を追い求める貪欲さの結果だった。

米移籍した12年、初のキャンプ中には、練習時間が短いメジャー流に打ち込み不足を痛感。帰宅後も消化不良だと思えば、バットを持って近隣の公園で黙々と素振りを繰り返した。ちょうどバレンタインデーで、周囲はラブラブのカップルがデート中。それでもお構いなしに、汗だくでバットを振った。ナイター後の真夜中、自宅で素振りをする際、佐知夫人が携帯で撮影するのも日課になった。

だからといって、「野球を強制的にやらされた記憶はない」とも言う。尊敬するイチローがバットを変えなかったのとは対照的に、他人のバットを拝借することも珍しくない。相手投手、状況、カウントによってフォームも変える。裏を返せば、「こうあるべき」という固定観念がない。3人兄弟の三男。常に、自分より大きい兄たちに追い付きたい気持ちで、必死に白球を追った。野球選手としては小柄な体で偉業を達成したのも、少年時代と変わることのない「求道精神」を持ち続けたからに違いない。【MLB担当=四竈衛】