オリックス山岡泰輔投手(25)が、公式戦初登板の甲子園で7回5安打2失点、9奪三振で復活の3勝目を挙げた。先発で投げ合った元同僚の阪神西勇に適時打を浴びたが、同点の7回2死一、三塁のピンチをしのぎ、こぶしを握り締めてベンチに帰った直後の8回に味方打線が勝ち越した。

「粘り切れたって感じです。8回に点取ってもらえたところがすべてじゃないですか」

山岡にとって、甲子園はまさに“聖地”だ。13年の夏、瀬戸内(広島)のエースとして登場。初戦で優勝候補の一角だった明徳義塾(高知)を相手に8回2失点(自責1)、9奪三振と力投も、1-2で敗れた。その10日後、当時レンジャーズのダルビッシュから「動画見たけど、これが1番だわと思いました」とツイッターで絶賛された。

さらに道は開けた。高校日本代表で活躍し、東京ガスで社会人球界を代表する投手となった。ドラフト1位でオリックス入りし、主軸で投げる今がある。

直球に斜めに切れるスライダーが代名詞だった高校時代に比べ、球種の引き出しははるかに増えた。ただこの日も「いいボールだけを使いました」と頼りにしたのは、縦のスライダー。阪神佐藤輝のバットも、その球で封じた。野球人生を大きく変えた球場に感謝するかのように、勝利球を惜しげもなくスタンドに投げ込んだ。【堀まどか】

▽オリックス安達(8回に決勝打)「山岡が頑張って投げていましたし、なんとか山岡に勝ちをつけられるようにと思っていたので、いいところに飛んでくれてよかったです」