帰ってきた巨人主将・坂本勇人内野手(32)がプレーで、言葉でチームを引っ張った。

2回1死の1軍復帰後初打席。ロッテ本前の131キロの低めカットボールに体勢を崩しながらも、うまくバットに乗せ、左翼手の前にポトリと落とすチーム初安打を決めた。「実戦から(間隔が)空いていた。不安の中でスタートしましたけど、1打席目でいい形でヒットが出た。いいスタートが切れたかなと思う」とひと安心。万全を印象づける3打数2安打の活躍につなげた。一塁ベース上では「慣れないので着けづらいですね」と苦笑いしながらも、「走塁ガード手袋」を右手にがっちりとはめて表情を緩ませた。

5月9日ヤクルト戦(東京ドーム)の帰塁時に、まさかのアクシデントに見舞われた。「起きてしまったことはしょうがない。トレーニングだったり、プラスの時間に変えられると思ってやっていた」と発想を転換した。当然、野球ができないもどかしさもあった。「家でテレビ見ながら、あの場(1軍)でプレーしたいと思っていた。やっぱり、よかったです」としみじみ言った。

試合前、坂本は久しぶりに円陣の輪に加わると、言葉でナインを鼓舞した。「みんなベンチで暗いので、明るく元気出して、頑張っていきましょう!3つ勝つよ!さあ行こう!」と声を張り上げた。グラウンドでも姿勢は変わらない。5回1死一、二塁のピンチでは、遊撃からマウンドへ歩み寄り、メルセデスに声をかけた。9回2死には、自主トレをともにする弟子の湯浅がプロ初安打。ベンチから大きな拍手と笑顔で祝福した。

グラウンド内外で明るくチームを支え、4連敗を喫していたチームが何よりも欲していた勝利をもたらした。首位阪神を猛追する上で、そして約1カ月半後に迫る東京五輪へ向けても、坂本の帰還がこれ以上無い希望の光だ。【小早川宗一郎】

▽巨人湯浅(9回にプロ10打席目で初安打となる二塁打) ようやく4年目で初ヒットが打ててうれしいです!引き続き、たくさんヒットが打てるように頑張ります!!