オリックス山本由伸投手(22)が、まさに異次元の投球でチームを交流戦単独首位に押し上げた。7回まで完全投球。8回、先頭のは鈴木誠に初安打を浴び、無死一、二塁のピンチを招いたが、3者連続三振で切り抜け、出場全打者から三振を奪って自己最多15Kをマークした。

バックを守る野手も、ベンチで待つメンバーも、みんなが山本に拍手を送った。先頭の鈴木誠、続く坂倉に連打を浴び、94年巨人槙原以来の完全試合の大記録を逃した8回。無死一、二塁のピンチを背負った。そのピンチを、山本は3者連続三振で切り抜けた。

山本 誠也さん、すごくいい選手なんで。(被安打は)悔しいけど、仕方ないです。もし打たれても、絶対にダラダラいかない。ゼロで帰る! そう思って8回のマウンドに上がりました。

覚悟の投球で会沢、小園、代打・菊池涼を3者連続三振。プロ初先発の広島戦で対戦した野手全員から三振を奪い、自己最多15奪三振で4連勝を引き寄せた。

基本的に三振は狙わない。普段は「長いシーズンを考えると、省エネが大切になる。取れればラッキー、くらいの感覚」という。ただ、この日は味方打線も広島投手陣に大苦戦。勝つために腕を振り、三振の山を積み上げた。

山本 制球力とか変化球の精度とかが、いつもと全然違いました。最近はカーブがよくなって、フォーク、フォークにならないように(伏見)寅威さんにいいリードをしていただいた。

捕手への感謝を込め、6勝目を振り返った。チームは18年7月21日以来の貯金1とし、今年4月4日以来の3位浮上。異次元の投球で、山本がオリックスの躍進を支える。【堀まどか】

 

▽オリックス中嶋監督(山本について) 「パーフェクトはめちゃくちゃ難しいんです。それよりも(味方も無援護で)参考記録にならんやろなと焦ってました。これをどうやって援護するんやと、そっちの方を考えさせられました」

▽広島佐々岡監督(オリックス山本について) 「真っすぐが強いし、変化球もフォーク、カーブの腕の振りが一緒なのでボール球を振らされる。ああいう投球をされるとちょっと…ね。打てないで終わらせてはいけないんだけど…」

 

▼山本が自己最多の15奪三振。15三振以上奪った投手は、16年9月28日西武戦の大谷(日本ハム)以来で、オリックスでは95年4月21日ロッテ戦でプロ野球記録の19三振を奪った野田以来26年ぶりとなった。また、山本は15奪三振で四死球なし。15三振奪って無四死球だったのは、11年10月20日中日戦の前田(広島)以来8人、9度目で、球団では62年5月24日南海戦の足立に次いで59年ぶり2人目だ。なお交流戦で15奪三振は、11年5月20日ヤクルト戦の田中(楽天)に並ぶ最多タイ。