阪神ドラフト2位ルーキー伊藤将司投手(25)が、楽天田中将大投手(32)との「将(まさ)」対決に投げ勝ち、4勝目を挙げた。「見たことある、プロでめちゃ活躍している人。対戦できて本当に楽しかったです」。日米通算179勝右腕について、登板前日11日には「伝説の投手。対戦できるのは光栄」と話していただけに、充実感いっぱいだった。

初回から打たせて取る投球が光った。四球とヒットで2死一、二塁のピンチを招いたが慌てず、岡島を真っすぐで遊ゴロに斬った。味方の援護を受け、失点は島内に浴びたソロだけに抑えて7回4安打1失点。21アウトのうち、ゴロアウトは半分以上の12個。三振は田中将と同じ5つを奪った。「今日は低めに集めることを意識していたので、自分の投球はできたんじゃないかと」。この日の最速は141キロ。それでもカットボール、ツーシーム、カーブ、チェンジアップと多彩な変化球を駆使。球の出どころが見にくい独特のフォームで、114球を費やして7回を投げ抜いた。

ベンチ前から田中将の投球を見て勉強した。「投げる手は逆なんですけど、間の作り方だったりは見習っていこうかなと思いました」。エースのマウンドさばきもしっかり復調のエキスに変えた。開幕3連勝後3連敗したが、5月8日DeNA戦以来、約1カ月ぶりの白星をゲット。「勝ちから遠ざかっていたので、ここからまた流れをつくってチームに貢献したい」と力を込めた。

矢野監督も「よく7回までいってくれた。勝ち負けのギリギリのところで粘りができた。いい経験ができた勝ちになった」と評価。最近は痛恨の逆転弾を食らうことも多かったが、5、6、7回と3人ずつで片付けた中盤の粘りをほめた。父正宏さん(52)から「ジャンボ尾崎(将司)さんに負けないぐらいに有名になれるように」と将司と名付けられた。まずは球界の「将」に負けず、その名をとどろかせた。【石橋隆雄】